日本プロ野球における2017年7月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2017年6月度のまとめ記事はこちら)
セ・リーグは阪神・横浜・巨人によるAクラス争いが、パ・リーグは楽天・福岡・西武による首位争いが白熱している。
2017年7月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(7月終了時点)
セ・リーグ月間順位(7月)
セ・リーグ貯金推移(7月)
1位 広島東洋カープ
7月は打率.289、防御率2.99ともにリーグトップで、15勝7敗の勝率.682で2位とのゲーム差を7.5→10に広げている。田中、菊池、丸、鈴木と1~4番までが好調で、代打・新井の活躍もあり圧倒的な打ち勝つ野球を体現している。ジョンソンが怪我で再離脱した影響をほとんど感じさせない盤石っぷりだ。
2位 阪神タイガース
7月加入のロジャースと二軍から昇格したドラ1大山の活躍もあり打線は上向き。投手陣はメッセンジャー、秋山がそれぞれ3勝をあげているが、他の先発でなかなか勝てず、いまいち勢いに乗り切れていない。7月は12勝9敗と勝ち越してはいるものの、カード勝ち越しできたのは中日、ヤクルトのみと苦しい状況だ。
3位 横浜DeNAベイスターズ
7月は打率、防御率ともに広島に次ぐリーグ2位で、一時は阪神を抜いて単独2位に躍り出た。打線では1番桑原(.389 6本 14点)と4番筒香(.312 5本 18打点)が好調で、どちらも月間MVP級の活躍を見せている。一方で三上や砂田といった救援陣に疲れが見えており、終盤で点を取られる場面が増えてきているのが不安要素か。
4位 読売ジャイアンツ
7月は13勝8敗で広島に次ぐ2位につけており、7カード連続負け越し無しなどチーム状態は上向いている。特に2番マギーが打率.391と好調で、打線の繋がりが出て得点力が大幅にアップしているのが大きい。菅野、田口、マイコラスの先発3本柱で9勝を挙げているものの、それ以外の先発でなかなか勝てないのが悩みどころか。
5位 中日ドラゴンズ
6月は14勝9敗で好調だったが、7月に入って投手陣がことごとく打ち込まれ、月間防御率5.41は12球団最下位となっている。鈴木、小笠原、柳のドラ1先発ローテが崩壊し、中継ぎ陣もヤクルトに10点差を逆転されるなど苦しい状況。ゲレーロ、福田といった打撃陣が好調なだけに、投打が噛み合わないのがつらい。
6位 東京ヤクルトスワローズ
7月1日からまさかの14連敗を喫してしまい、最下位独走状態となってしまった。秋吉の怪我を受けて抑えに転向したエース小川が、いきなり広島に9回5点差を逆転されるなど、暗黒まっしぐらな状況であったが、最終週には打線が爆発して4勝2敗と持ち直している。先発陣の防御率が酷いことになっているが、打ち勝つ野球で何とか反撃したいところだ。
パ・リーグ順位表(7月終了時点)
パ・リーグ月間順位(7月)
パ・リーグ貯金推移(7月)
1位 東北楽天ゴールデンイーグルス
7月は茂木、ペゲーロ、岡島、藤田といった主要野手が相次いで離脱し、下旬には守護神・松井裕樹が離脱するなどかなり苦しい状態に陥った。一時はソフトバンクに首位の座を明け渡したが、ウィーラー、アマダー、銀次といった選手の活躍で何とか持ちこたえ、直接対決で勝ち越して何とか首位を保っている。
2位 福岡ソフトバンクホークス
7月は15勝5敗の勝率.750と驚異的な強さを誇った。4番内川が骨折で離脱し、5番デスパイネが不調と打線は芳しくなかったが、森、岩嵜、サファテの勝ちパターンが抜群の安定感を見せ、接戦をことごとくものにしていった。中継ぎの負担が心配されるが、首位楽天にゲーム差-0.5と肉迫している。
3位 埼玉西武ライオンズ
7月は打線が爆発。秋山19打点、浅村17打点、中村18打点と主要打者が軒並み月間MVP級の活躍を見せ、多少点を取られても打ち勝つ野球で今季最多の9連勝を達成した。月間では16勝7敗と大きく勝ち越したが、上位2チームに対しては1勝5敗と全く勝てておらず、8月1週目の楽天&ソフトバンク6連戦が鬼門となるだろう。
4位 オリックスバファローズ
7月後半に今季2度目の8連敗を喫してしまい、3位からも5位からも大きく離れた4位独走状態となってしまった。抑えの平野が今月だけで3敗とピリッとせず、代わりに抑えとなった黒木も打たれるなど、試合終盤で逆転されるシーンが多く見られた。ロッテと楽天に大きく負け越しているのを何とかしたいところ。
5位 北海道日本ハムファイターズ
7月は4勝18敗の勝率.182と、14連敗を喫したヤクルトよりも悪い成績となってしまった。月間成績で見ると打率、防御率、得点、失点のすべてがリーグ最下位で、チーム状態は最悪と言えるだろう。先発・上沢が3勝でひとり奮闘しているものの、他の試合で全く勝てる気配が無く、最下位まで2.5ゲーム差に迫っている。
6位 千葉ロッテマリーンズ
何故かオリックスには相性が良く、7月だけで4勝1敗と大きく勝ち越している。ただ打線は相変わらずの貧打で、オリックス戦以外では3勝12敗と苦しい状況に変わりはない。チーム内最多勝が4勝というのが深刻なチーム状況を表しているが、日本ハムが物凄い勢いで落ちてきているので最下位脱出もありえる。
2017年7月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2017年7月の月間MVP候補一覧
7月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
横浜・桑原がリーグトップの打率.389、出塁率.439をマークして初受賞となった。猛打賞5回のほか、逆転満塁ホームランを打つなど、チームのリードオフマンとしての役割を存分に果たした。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
桑原 将志 | 横浜 | .389 | 21 | 90 | 35 | 6 | 14 | 2 | .439 | .678 | 1.117 |
田中 広輔 | 広島 | .367 | 23 | 98 | 36 | 0 | 10 | 4 | .422 | .480 | .902 |
坂本 勇人 | 巨人 | .352 | 22 | 88 | 31 | 3 | 12 | 2 | .412 | .511 | .924 |
菊池 涼介 | 広島 | .348 | 23 | 89 | 31 | 5 | 16 | 2 | .385 | .573 | .958 |
筒香 嘉智 | 横浜 | .312 | 21 | 77 | 24 | 5 | 18 | 0 | .430 | .558 | .989 |
バレンティン | ヤク | .276 | 23 | 76 | 21 | 11 | 21 | 0 | .415 | .763 | 1.178 |
セ・リーグ【投手部門】
巨人・菅野がリーグトップの4勝、防御率0.31をマークして4度目の受賞となった。先発した4試合すべてで勝ち星をあげ、28イニング連続無失点を記録するなど、エースとして申し分ない働きを見せた。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菅野 智之 | 巨人 | 0.31 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 29 | 30 | 0 | 0 | 1 |
今永 昇太 | 横浜 | 1.07 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 25.1 | 26 | 0 | 0 | 3 |
メッセンジャー | 阪神 | 1.64 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 33 | 36 | 0 | 0 | 6 |
田口 麗斗 | 巨人 | 2.17 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 29 | 14 | 0 | 0 | 7 |
*桑原 謙太朗 | 阪神 | 0.84 | 9 | 0 | 0 | 0 | 8 | 10.2 | 9 | 0 | 0 | 1 |
*山崎 康晃 | 横浜 | 2.31 | 12 | 1 | 1 | 8 | 0 | 11.2 | 16 | 0 | 0 | 3 |
パ・リーグ【打者部門】
西武・秋山がリーグトップの33安打、19打点、52塁打をマークし3度目の受賞となった。1番バッターとして、7月21日~8月4日までの13連勝を支えた原動力となったのも大きい。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
柳田 悠岐 | 福岡 | .393 | 19 | 61 | 24 | 4 | 11 | 1 | .507 | .705 | 1.212 |
ペゲーロ | 楽天 | .386 | 15 | 57 | 22 | 3 | 11 | 2 | .470 | .561 | 1.031 |
秋山 翔吾 | 西武 | .351 | 23 | 94 | 33 | 3 | 19 | 2 | .419 | .553 | .972 |
浅村 栄斗 | 西武 | .337 | 23 | 89 | 30 | 4 | 17 | 2 | .416 | .517 | .933 |
アマダー | 楽天 | .281 | 20 | 64 | 18 | 8 | 15 | 0 | .347 | .688 | 1.035 |
中村 剛也 | 西武 | .238 | 23 | 84 | 20 | 9 | 18 | 0 | .316 | .571 | .887 |
パ・リーグ【投手部門】
福岡・東浜がリーグトップタイの3勝をマークし自身初受賞となった。成績だけで言えば菊池雄星の方が上だが、規定投球回に達していないのが響いた。(西武は23試合あったので、あと2/3回足りない)
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
東浜 巨 | 福岡 | 1.33 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 20.1 | 13 | 0 | 0 | 3 |
上沢 直之 | ハム | 1.73 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 26 | 19 | 0 | 0 | 5 |
千賀 滉大 | 福岡 | 2.25 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 24 | 21 | 0 | 0 | 6 |
*菊池 雄星 | 西武 | 0.81 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 22.1 | 34 | 1 | 1 | 2 |
*岩嵜 翔 | 福岡 | 2.45 | 12 | 1 | 0 | 0 | 8 | 11 | 8 | 0 | 0 | 3 |
*サファテ | 福岡 | 0.64 | 13 | 0 | 1 | 11 | 0 | 14 | 24 | 0 | 0 | 1 |
2017年7月の記録・ニュース
ヤクルトが今季ワーストの14連敗
ヤクルトが7月1日(土)の阪神戦からスタートして、7月21日(金)の阪神戦までの間に今季最多の14連敗を喫した。交流戦中にも10連敗を喫していたヤクルトは、前半戦だけで2度の10連敗となり、1956年の高橋ユニオンズ以来61年ぶりの不名誉な記録となった。
ヤクルト球団史上初の10点差逆転
7月26日のヤクルトvs中日戦(神宮球場)にて、ヤクルトが球団史上初となる10点差の逆転勝利を収めた。プロ野球史上4度目の快挙で、セ・リーグでは実に66年ぶりの記録となった。