2017年8月14日の広島戦にて、巨人・阿部慎之助が通算2000本安打の偉業を成し遂げた。プロ野球史上49人目(日米通算54人目)の達成で、巨人の生え抜き選手としては川上、長嶋、王、柴田に次ぐ史上5人目の快挙となった。
21世紀の巨人を象徴する選手だけに、巨人ファンの喜びはひとしおであったが、達成した瞬間には巨人&広島両軍からの拍手と共に球場全体が「慎之助コール」で包まれた。
大卒かつ捕手という立場での2000本安打達成は非常に難しく、選手生活の中で怪我に苦しむことも多かった阿部だが、それでもきっちり2000本の大台に乗せてくるあたりはさすが球界のレジェンドと言ったところか。
ここでは歴代の2000本安打達成者との比較から、阿部の2000本安打達成ペースがどんなものだったかを見ていきたい。
2000本安打のペース比較
阿部の年度別安打数の推移は以下の通り。安打数の最高値は2012年(33歳)の159本で、この年に阿部はキャリアハイの成績(打率.340、27本、104打点:首位打者、打点王)を残している。
年齢で見ると阿部は38歳4ヵ月での2000本安打達成となり、歴代の達成者の中では49人中27位と真ん中より少し遅いペースとなる。ただし大卒者に限って見れば、長嶋茂雄(巨人)、山本浩二(広島)、谷沢健一(中日)に次ぐ歴代4位のスピードで、かなりのハイペースと言えるだろう。
大卒選手の2000本安打達成時の年齢
選手 | 球団 | 達成年齢 | |
---|---|---|---|
1 | 長嶋茂雄 | 巨人 | 35歳3ヵ月 |
2 | 山本浩二 | 広島 | 37歳6ヵ月 |
3 | 谷沢健一 | 中日 | 38歳1ヵ月 |
4 | 阿部慎之助 | 巨人 | 38歳4ヵ月 |
5 | 有藤道世 | 千葉 | 38歳6ヵ月 |
6 | 野村謙二郎 | 広島 | 38歳9ヵ月 |
7 | 新井貴浩 | 広島 | 39歳2ヵ月 |
8 | 稲葉篤紀 | ハム | 39歳8ヵ月 |
9 | 金本知憲 | 阪神 | 40歳0ヵ月 |
10 | 新井宏昌 | 近鉄 | 40歳2ヵ月 |
11 | 小久保裕紀 | 福岡 | 40歳8ヵ月 |
※上記は阿部の2000本安打達成時点
出典:2000安打達成者一覧 – NPB
これだけのハイペースで安打を積み上げられたのは、プロ1年目(22歳)からスタメン捕手の座を勝ち取ったことと、捕手としては破格の打撃力で中軸を担ってきたことが大きいだろう。
阿部が正捕手を務めた14年間で、巨人は2度の3連覇(07~09年、12~14年)を含む優勝7回、日本一3回を経験しており、巨人の黄金期が阿部の2000本安打の道のりと共にあったことは間違いない。
阿部にとって不幸だったのは、全盛期となった2012年がちょうど「違反球」と被ってしまったことだろう。もしも2011年~2012年が通常のボールであれば、もっと早くに2000本安打を達成していた可能性が高い。
既に満身創痍で捕手のポジションも退いており、正直いつ引退してもおかしくない状態の阿部だが、どこまで安打数を伸ばせるか?という点にも注目が集まる。このまま現役生活を続けるのであれば、捕手の先輩である古田敦也氏(2097安打)や谷繁元信氏(2108安打)の記録を目標にしてみても良さそうだ。