2008年から巨人不動の遊撃手としてスタメンを張り続ける坂本勇人選手。
2016年の巨人は2位でペナントを終え、クライマックスシリーズでも横浜DeNAベイスターズに敗れてしまった。常勝巨人軍に陰りが見える中、坂本の孤軍奮闘の活躍は巨人ファンの脳裏に強く刻まれたことと思う。シーズン終盤に広島の優勝が決定してからは、「坂本の打撃しかみどころがない」とまで言わしめたほどだ。
そんな坂本だが、今シーズンはキャリアハイの成績を残し、歴代で見てもレジェンドに片足を突っ込んでいる状態だ。ここでは、坂本の2016年度の成績を振り返るとともに、歴代のレジェンド達に比肩する通算安打記録についても見ていきたい。
坂本勇人のプロフィール
- 坂本勇人(さかもとはやと)
- 1988年12月14日生
- 身長:186cm 体重:83kg 右投右打
- 2006年高卒ドラフト1位
2006年ドラフト1位で巨人に入団。当時のドラフトで巨人は堂上直倫(現・中日)を1位指名していたが、くじ引きを外して外れ1位で坂本を獲得している。
現在では巨人の生え抜きスターとして球界を代表する選手にまでなっているが、当時ドラフトの目玉は田中将大(現・ヤンキース)であり、坂本はそこまで話題になっていなかった。
プロ2年目に、当時レギュラーであった二岡智宏のケガによりスタメン遊撃手の座を奪取し、それ以降はレギュラーに定着している。打順は1番、3番を打つことが多い。
イケメンかつスタイルも良いことから、女性ファンからの人気も高い。また代名詞の「内角打ち」は芸術の域に達しており、鬼に金棒、坂本に内角状態である。
今シーズン(2016年)は不動の3番ショートとして巨人のペナント2位に貢献した。
2016年度成績
試合 | 打数 | 打率 | 本塁打 | 打点 |
---|---|---|---|---|
137 | 488 | .344 | 23 | 75 |
安打 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
168 | 13 | .433 | .555 | .988 |
※赤太字はタイトル獲得
今シーズンは「首位打者」と「最高出塁率」のタイトルを獲得。打撃指標も軒並みトップクラスで、今年の巨人打線は坂本さまさまであった。
打率や本塁打数の割に打点が少ないのは、1番・2番打者の出塁率が悪いため。ここが改善されれば巨人打線の得点力も大幅にアップするのだが…。
いつも夏ごろに成績が落ちると言われていたが、今シーズンは常に高い打率を維持。シーズン終盤に打率.310あたりまで下がったが、その後持ち直して最終的に打率.340台に落ち着いた。
もともと内角には滅法強かったが、2013年から取り組んでいた右方向への流し打ちが今年開花し、外角の球でも長打を打てるようになったのが大きい。
また選球眼も年々向上しており、落ちる球や釣り玉を振らないため、安定して四球が取れるようになった。ここ3年の四球数は55個(’14)⇒65個(’15)⇒81個(’16)と右肩上がりで、抜群の安定感を見せている。
過去に31本塁打(2010年)を打っている実績もあり、この状態を維持できれば3割30本100打点も夢ではないだろう。
セ・リーグ初!遊撃手の首位打者
先にも述べた首位打者のタイトルだが、実はセ・リーグの遊撃手としては史上初。
誰かとっていそうなものだが、意外にもセ・リーグで首位打者をとった遊撃手はいないのだ。惜しかった選手としては、鳥谷敬.300(4位、2011年)、野村謙二郎.315(3位、1995年)などが挙げられる。
ちなみにパ・リーグの遊撃手で首位打者を獲得した選手は以下の3名。
1954年 レインズ(阪急).337
1956年 豊田泰光(西鉄).325
2010年 西岡剛(ロッテ).346
両リーグ合わせても、坂本を含めてたったの4人しかいない。
遊撃手は捕手の次に守備負担が大きいポジション(守備機会が多い、送球距離が長い etc)と言われており、打撃成績は他のポジションに比べると低くなる傾向がある。それを踏まえると、今シーズンの坂本の成績がいかに異次元であるかがわかるだろう。
通算安打数は歴代5位のスピード
坂本の通算記録の中で、特に注目されているのが「通算安打数」である。まだ27歳(今年で28歳)という若さでありながら、通算記録だなんて時期尚早に思うかもしれないが、実は歴代のレジェンド達と肩を並べるスピードで安打を量産している。
以下に28歳時点(高卒入団10年目)での通算安打数の歴代記録を示す。
28歳時点の通算安打数ランキング
順位 | 選手名 | 安打数 |
---|---|---|
1 | イチロー | 1520 |
2 | 榎本喜八 | 1503 |
3 | 松井稼頭央 | 1440 |
4 | 豊田泰光 | 1418 |
5 | 坂本勇人 | 1402 |
6 | 小玉明利 | 1399 |
7 | 松井秀喜 | 1390 |
8 | 張本勲 | 1386 |
9 | 毒島章一 | 1362 |
10 | 土井正博 | 1336 |
出典:2000本安打への道
ランキングには「安打製造機」の異名をとる榎本喜八、張本勲、イチローなどのレジェンド達が名を連ねる。これらの選手と肩を並べている時点で凄いが、ここから通算安打をどこまで伸ばせるかにも注目が集まる。
「2000本は固い」「2500本はいくだろう」「3000本も夢ではない」などなど、ネット上でも色々と言われているが、最終的な通算安打数でもランクインできれば正真正銘のレジェンドと呼べるであろう。
ちなみに10位以内の選手のうち、2000本安打に届かなかった選手が3名(豊田、小玉、毒島)、3000本安打に到達した選手が2名(イチロー、張本)である。
2000本安打に届かなかった選手はいずれも34~35歳で引退しており、ケガや衰えに泣いている。これに対して3000本安打を打った両選手はいずれも40歳以上までプレイしている。
「無事是名馬」とはよく言ったもので、坂本がケガすることなくキャリアを積めれば、史上3人目の3000本安打達成者としてレジェンド入りも見えてくるだろう。
おわりに
巨人不動のショートとして活躍してきた坂本だが、今や「日本代表のショートといえば坂本勇人」と言われるまでになっている。セ・リーグ初のショート首位打者にしても、通算安打数の積み上げスピードにしても、レジェンドに片足を突っ込んでいるのは間違いない。
「歴代ベストナイン」という言葉が度々話題にあがるが、確実に入ると言われているのは王貞治、イチローくらいのもので、あとは人によってマチマチである。
特にショートは一長一短で、なかなかこれと言った選手が決まらない。坂本には今後も活躍を続けてもらい、是非ともこの歴代ベストナイン論争に決着をつけて欲しいと思う。