日本プロ野球における2017年6月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2017年5月度のまとめ記事はこちら)
6月のメインは何と言っても交流戦であったが、福岡ソフトバンクホークスが7度目の優勝で史上初の3連覇を達成した。
チーム | 勝 | 負 | 分 | 率 | 差 |
---|---|---|---|---|---|
福岡 | 12 | 6 | 0 | .667 | – |
広島 | 12 | 6 | 0 | .667 | 0.0 |
西武 | 10 | 7 | 1 | .588 | 1.5 |
阪神 | 10 | 8 | 0 | .556 | 2.0 |
楽天 | 10 | 8 | 0 | .556 | 2.0 |
オリ | 10 | 8 | 0 | .556 | 2.0 |
横浜 | 9 | 9 | 0 | .500 | 3.0 |
中日 | 9 | 9 | 0 | .500 | 3.0 |
ハム | 8 | 10 | 0 | .444 | 4.0 |
巨人 | 6 | 12 | 0 | .333 | 6.0 |
千葉 | 6 | 12 | 0 | .333 | 6.0 |
ヤク | 5 | 12 | 1 | .294 | 6.5 |
上位チームが順当に勝ちを重ねたパ・リーグに対し、巨人が大型連敗を喫するなど明暗がはっきりと分かれたセ・リーグだが、各球団の6月の成績がどうなったかを見ていきたいと思う。
2017年6月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(6月終了時点)
セ・リーグ月間順位(6月)
セ・リーグ貯金推移(6月)
1位 広島東洋カープ
ジョンソン、中崎の復帰で投手陣が安定し、5月に悪化した防御率も6月終わりにはリーグ2位にまで持ち直した。相変わらず打線は強力で、6月は12球団トップとなる打率.281、115得点を記録。交流戦優勝こそ逃したものの、首位をガッチリキープし、2位・阪神に7.5ゲーム差を付けて独走態勢に入った。
2位 阪神タイガース
5月に引き続き、糸井・福留といったベテラン勢の不調から極度の貧打に苦しんだ打線。投手陣の踏ん張りのおかげで、交流戦は勝ち越しで終えたものの、リーグ再開後にまさかの6連敗。6月は12球団ワーストの61得点で、首位広島に大きく水をあけられてしまった。
3位 横浜DeNAベイスターズ
6月は打線好調で、月間113得点は広島に次ぐ第2位。苦手の交流戦も9勝9敗の5割で乗り切り、6月終了時点で借金なしの3位に躍り出た。桑原、ロペス、宮崎の好調に加え、不振に喘いでいた筒香が復活し、打線が完全に機能しだしたのが大きい。
4位 中日ドラゴンズ
巨人、ヤクルトが交流戦中に大型連敗を喫したことで最下位から一気に4位に躍り出た。6月は投打ともに上手く噛み合い、交流戦も5割で乗り切っている。鈴木、小笠原、柳といった若手投手の台頭が目覚ましく、また昨年で引退も囁かれた岩瀬がここにきて復活したのも大きい。
5位 読売ジャイアンツ
交流戦中に球団ワーストとなる13連敗を記録し、順位も3位から5位まで一気に転落した。交流戦最終週こそ6試合で34得点と打線が機能したが、リーグ戦再開後は6試合で13得点と連敗中の貧打線に逆戻り。昨年2位のメッキも剝がれ、カード負け越しが続く苦しい展開だ。長野が打率.280に乗せたことが唯一の朗報か。
6位 東京ヤクルトスワローズ
交流戦中に10連敗を喫し、5勝12敗1分で交流戦最下位、リーグでも最下位に沈んでいる。とにかく怪我人が多く、川端、畠山に続いて、バレンティン、雄平、中村悠、小川、秋吉が離脱するなど、もはや戦線を維持するのがやっとの状態となっている。
パ・リーグ順位表(6月終了時点)
パ・リーグ月間順位(6月)
パ・リーグ貯金推移(6月)
1位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5月までは絶好調だった楽天打線だが、茂木の故障などもあって調子が急降下し、月間打率.228はパ・リーグ最下位となっている。それでも則本、岸、美馬の3本柱を中心に勝ち星を重ね、6月は12勝9敗と勝率2位に輝いているのだが、2位ソフトバンクがそれを上回る15勝8敗で猛追してきており、ゲーム差は1.5に縮まっている。
2位 福岡ソフトバンクホークス
交流戦7度目の優勝で見事3連覇を達成したホークス。投打ともに好調で、月間防御率は12球団唯一の2点台をマークしている。内川、デスパイネ、高谷、千賀がケガで離脱するなど苦しい局面ではあったが、代わりに柳田が12本塁打31打点と大爆発。先発も育成出身の石川が好投するなど、離脱者の穴を見事に埋めてみせた。
3位 埼玉西武ライオンズ
交流戦中は打撃陣の調子が良く、10勝7敗1分の3位という成績。特に秋山、メヒアが好調で、ふたりで12本32打点と打線の核を担った。このまま昇り調子で行くかと思われたが、鉄壁だった中継ぎ陣(シュリッター、牧田)に疲れが見え始め、リーグ戦再開後は1勝4敗と負けが込んでいる。
4位 オリックスバファローズ
リーグトップの月間打率.264を記録しているにも関わらず、得点はリーグワーストの79得点という不思議な状態のオリックス。とはいえ6月はロメロ、マレーロ、モレルといった外人野手が好調で、投手陣では山岡、黒木といったルーキーの活躍もあり、11勝10敗と勝ち越しに成功している。
5位 北海道日本ハムファイターズ
連勝は出来ないが連敗はするといった感じで、交流戦は9位、6月は9勝14敗と相変わらず低迷が続く。打線は大田、松本、西川の上位打線が好調だったが、中軸がなかなか返せないことも多かった。6月終盤には大谷が1軍復帰するものの、まだ万全でないこともあり起爆剤とはなれていない。有原が好投しているのが救いか。
6位 千葉ロッテマリーンズ
新加入のサントスの働きもあり、交流戦では打率を大分持ち直したものの、倒壊具合は相変わらずで月間防御率はリーグワーストの4.30。もはや戦術どうこうのレベルではなく、未だに打率、防御率、得点、失点は12球団ワーストのままだ。不振に喘いでいたエース石川が何とか1勝できたものの、ドラ1佐々木が二軍落ちするなど、苦しい台所事情は続いている。
2017年6月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2017年6月の月間MVP候補一覧
6月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
広島・丸が、打率・安打数・打点でリーグトップをマークし、文句なしの初受賞となった。交流戦でも首位打者(打率.411)に輝き日本生命賞を獲得。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
丸 佳浩 | 広島 | .402 | 21 | 82 | 33 | 6 | 22 | 0 | .468 | .756 | 1.224 |
坂本 勇人 | 巨人 | .346 | 21 | 78 | 27 | 2 | 13 | 1 | .414 | .500 | .914 |
ロペス | 横浜 | .330 | 22 | 88 | 29 | 9 | 20 | 0 | .344 | .705 | 1.049 |
ゲレーロ | 中日 | .325 | 23 | 83 | 27 | 9 | 19 | 0 | .387 | .747 | 1.134 |
宮崎 敏郎 | 横浜 | .321 | 22 | 81 | 26 | 6 | 17 | 0 | .396 | .556 | .951 |
筒香 嘉智 | 横浜 | .311 | 22 | 74 | 23 | 6 | 19 | 0 | .441 | .622 | 1.062 |
セ・リーグ【投手部門】
中日・岩瀬が、14試合に登板して全試合無失点に抑える活躍で、12年ぶりとなる2度目の受賞を果たした。月間10ホールドはリーグトップ。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 完投 | 完封 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
今永 昇太 | 横浜 | 1.57 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 23 | 2 | 1 | 17 | 4 |
マイコラス | 巨人 | 2.20 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 28.2 | 0 | 0 | 34 | 7 |
ブキャナン | ヤク | 2.25 | 5 | 3 | 0 | 0 | 0 | 32 | 1 | 1 | 22 | 8 |
バルデス | 中日 | 2.54 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 28.1 | 0 | 0 | 15 | 8 |
*岩瀬 仁紀 | 中日 | 0.00 | 14 | 1 | 0 | 0 | 10 | 11.2 | 0 | 0 | 11 | 0 |
*桑原 謙太朗 | 阪神 | 0.00 | 10 | 0 | 0 | 0 | 6 | 9 | 0 | 0 | 10 | 0 |
パ・リーグ【打者部門】
ソフトバンク・柳田が、本塁打、打点、得点(22)、塁打(72)、出塁率、長打率、得点圏打率(.500)でリーグトップをマークし、文句なしで4度目の受賞となった。柳田は交流戦MVPも獲得している。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロメロ | オリ | .372 | 22 | 78 | 29 | 8 | 19 | 0 | .424 | .718 | 1.141 |
西川 遥輝 | ハム | .368 | 23 | 87 | 32 | 1 | 6 | 9 | .461 | .494 | .955 |
武田 健吾 | オリ | .364 | 22 | 66 | 24 | 0 | 3 | 0 | .391 | .455 | .846 |
柳田 悠岐 | 福岡 | .363 | 23 | 80 | 29 | 12 | 31 | 2 | .480 | .900 | 1.380 |
松本 剛 | ハム | .338 | 23 | 77 | 26 | 0 | 5 | 0 | .370 | .416 | .786 |
メヒア | 西武 | .290 | 21 | 69 | 20 | 7 | 17 | 0 | .383 | .638 | 1.020 |
パ・リーグ【投手部門】
西武・十亀が、4試合に登板して3勝0敗で初受賞。3勝した先発投手の中で、最も防御率が良かったのが決め手となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 完投 | 完封 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
有原 航平 | ハム | 0.77 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 23.1 | 0 | 0 | 8 | 2 |
岸 孝之 | 楽天 | 1.24 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 29 | 0 | 0 | 31 | 4 |
美馬 学 | 楽天 | 1.24 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 29 | 0 | 0 | 27 | 4 |
ウルフ | 西武 | 1.96 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 23 | 0 | 0 | 16 | 5 |
十亀 剣 | 西武 | 3.09 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 23.1 | 0 | 0 | 18 | 8 |
*黒木 優太 | オリ | 4.97 | 12 | 4 | 1 | 1 | 4 | 12.2 | 0 | 0 | 13 | 7 |
2017年6月の記録・ニュース
巨人が球団ワーストとなる13連敗
巨人が5月25日(木)の阪神戦からスタートして、6月8日(木)の西武戦までの間に13連敗という球団ワースト記録を更新した。これまでの球団記録は、長嶋茂雄監督が就任1年目の1975年に記録した11連敗であったが、今回でこの不名誉な記録を塗り替えることとなった。
中日・ゲレーロの6試合連続本塁打
中日・ゲレーロが6月3日の楽天戦で6試合連続となるホームランを放った。6試合連続は球団新記録であり、王(巨人)、バース(阪神)の7試合連続まであと一歩に迫る勢いであった。ゲレーロは交流戦だけで9本の本塁打を量産している。
楽天・則本の8試合連続2桁奪三振
楽天・則本が6月8日の横浜DeNA戦に先発し、9回12奪三振で完投勝利を飾った。これで8試合連続での2桁奪三振となり、自身が前週に達成した7試合連続2桁奪三振の日本記録を更新した。ちなみに8試合連続はMLB記録にも並んだことになる。
セ・リーグ初の継投ノーヒットノーラン
6月14日の巨人vsソフトバンク戦において、巨人がセ・リーグ初となる継投でのノーヒットノーランを達成した。山口俊→マシソン→カミネロの継投で、四死球を6つ出しながらもヒットは0に抑えた。ちなみにパ・リーグでは2007年に日本ハムがソフトバンクに対して、八木→武田久→中村の継投で達成している。また日本シリーズでは、2007年の中日が山井→岩瀬の継投で完全試合を達成している。
中日・荒木、HOU・青木が2000本安打達成
6月3日の楽天戦にて、中日・荒木雅博がプロ通算2000本安打を達成した。また6月11日には、ヒューストン・アストロズの青木宣親が日米通算2000本安打を達成した。これで日米通算も含めた2000本安打達成者は53名となった。