日本プロ野球における2017年5月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2017年4月度のまとめ記事はこちら)
5月を終えて、セパ両リーグともに上位2チームが抜けた形だが、交流戦を通してどう変動するかにも注目。
2017年5月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(5月終了時点)

セ・リーグ月間順位(5月)

セ・リーグ貯金推移(5月)

1位 広島東洋カープ
GWに阪神に3タテされたのをきっかけに投壊気味となり、チーム成績が低迷したものの、下旬には投打がかみ合って破竹の7連勝で首位に返り咲いた。とにかく打線が好調で、チーム打率.278、チーム得点270はセ・リーグでダントツトップ。エース野村が一時離脱したものの、中崎が復帰したことで中継ぎが安定した。4月に引き続き、打ち勝つ野球がとにかく強い。
2位 阪神タイガース
GWに広島を3タテしたのをきっかけに打線が爆発。5月6日には最大9点差を逆転するなど、打線の好調を維持して首位をひた走った。中旬頃から3番糸井、4番福留が不調で打線が冷却し、チーム成績も停滞。糸井は29打席連続ノーヒットとかなり深刻な状態となったが、下旬に復調を果たして打線も復活した。相変わらず投手陣の安定感は抜群。
3位 横浜DeNAベイスターズ
相変わらずの投壊っぷりで、防御率・失点はリーグワースト。4番筒香も5月の打率.243、本塁打3本と復調の兆しが見えないが、ロペスと宮崎が好調を維持して何とか打線を保っている。下旬には巨人が6連敗したおかげもあって、ついに3位に浮上した。山崎康晃が11試合に登板して防御率0.00と好調なのがポジ要素か。
4位 読売ジャイアンツ
貧打が深刻で、打率・得点ともにリーグ最下位に転落した。5月序盤こそ坂本・マギーの好調で得点を重ねたが、中盤以降は坂本・阿部が完全に冷えてしまい、打線が全く繋がらない状態に。打率.250以上が坂本、マギー、石川しかいない惨状で、先発陣も粘れず、今季最多の6連敗。とうとうBクラスに転落してしまった。打線のテコ入れが出来ないと最下位も見えてきてしまう。
5位 東京ヤクルトスワローズ
4月に比べて坂口、山田、雄平、バレンティンといった主軸が調子を取り戻し、打線は復調気味。一時はゲーム差無しの4位まで浮上したが、その後は5連敗で最下位に転落する場面も。4月好調だった投手陣が崩れだしており、特に勝ちパターンの中継ぎで負ける試合が多くなった。川端・畠山の復帰見通しも立たず、上がり目が無いのが苦しいところ。
6位 中日ドラゴンズ
5月早々に5連敗を喫するなど暗黒まっしぐらかと思われたが、ビシエド&ゲレーロの外人コンビが調子を取り戻してアベックホームランを連発。広島に3タテを決めるなどして、一時は最下位を脱出した。ところが相変わらず先発陣の乱調が続いており、打線も調子を落とし始めたことでチーム状態はかなり悪くなっている。
パ・リーグ順位表(5月終了時点)

パ・リーグ月間順位(5月)

パ・リーグ貯金推移(5月)

1位 東北楽天ゴールデンイーグルス
打率、防御率ともにリーグトップで、とにかく「強い」の一言に尽きる。1番茂木、2番ペゲーロの活躍に加え、3番ウィーラーの復調、下位打線も軒並み高い出塁率を誇るなど隙がない。投手陣も則本&岸のWエースを軸に中継ぎも盤石。このまま優勝までひた走りそうな勢いだ。
2位 福岡ソフトバンクホークス
和田の復帰が絶望的となり、武田も戻って来ないなか、5月は打線が絶好調。特に川崎宗則がMLBから復帰してからは、松田、デスパイネらの調子がうなぎ上りで、内川、上林らとともに月間MVPクラスの活躍を見せている。首位楽天が異様な強さを見せる中、ピッタリ付いて離れず2位をキープしている。
3位 埼玉西武ライオンズ
2位ソフトバンクに負けず劣らずの強力打線で、打率の割に得点力がかなり高い。特に浅村、中村といった主軸の決定力が高く、上位打線の好調を物語っている。6連勝&5連勝で一時はソフトバンクに0.5ゲーム差まで迫ったが、菊池以外の先発ローテが崩れ気味で、5月下旬には連敗を喫して水をあけられている。
4位 オリックスバファローズ
4月の好調が嘘のように、5月は6勝19敗と散々な成績となった。4番ロメロの離脱が大きく、小谷野とT-岡田だけの打線ではなかなか繋がらなくなった。エース金子の試合以外は勝てない状態で、月間20敗も目前に迫っていたが、5月下旬にロメロが復帰してからは打線が復調し、なんとか4位を保っている。
5位 北海道日本ハムファイターズ
5月絶不調だったオリックス&ロッテとの対戦が多かったおかげか、最下位からは持ち直した。4月は得点がリーグワーストだったが、中田&レアードの打点荒稼ぎのおかげもあって得点4位まで浮上。大谷が未だ復帰していないが、このまま交流戦を乗り切れれば、まだ浮上の可能性はあるだろう。
6位 千葉ロッテマリーンズ
打率、防御率、得点、失点の全てが12球団最下位で、圧倒的な弱さを誇る。5月下旬に角中が復帰したこともあり、打線はやや復調傾向で、チーム打率もようやく2割に乗せた。交流戦で巻き返しなるかと思われたが、2戦終えて阪神に大敗&完敗を喫しており、先行きは暗そうだ。新加入のサントスも今のところイマイチで、上がり目がないのが辛い。
2017年5月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】

セ・リーグ【投手部門】

パ・リーグ【打撃部門】

パ・リーグ【投手部門】

2017年5月の月間MVP候補一覧
月間MVP候補選手の5月成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
中日・ビシエドが、リーグトップとなる打点25をマークし、打率・本塁打でも高水準の成績を残したことで2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
マギー | 巨人 | .389 | 24 | 90 | 35 | 2 | 11 | 1 | .434 | .556 | .990 |
宮崎 敏郎 | 横浜 | .352 | 24 | 88 | 31 | 1 | 14 | 0 | .418 | .523 | .941 |
ビシエド | 中日 | .341 | 25 | 88 | 30 | 8 | 25 | 1 | .410 | .693 | 1.103 |
バレンティン | ヤク | .338 | 23 | 77 | 26 | 4 | 12 | 0 | .457 | .545 | 1.003 |
鈴木 誠也 | 広島 | .330 | 24 | 88 | 29 | 5 | 21 | 2 | .431 | .625 | 1.056 |
ゲレーロ | 中日 | .281 | 25 | 89 | 25 | 10 | 17 | 0 | .347 | .629 | .976 |
セ・リーグ【投手部門】
かなり微妙な争いとなったが、巨人・菅野が3度目の受賞。リーグトップの3勝をあげ、5月2日には3試合連続完封を成し遂げたことが大きかったか。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 完投 | 完封 | S | H | 投回 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
能見 篤史 | 阪神 | 0.34 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 26.2 | 26 | 1 |
田口 麗斗 | 巨人 | 1.55 | 4 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 29 | 24 | 5 |
菅野 智之 | 巨人 | 2.68 | 5 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 37 | 31 | 11 |
秋山 拓巳 | 阪神 | 3.15 | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 34.1 | 33 | 12 |
*山崎 康晃 | 横浜 | 0.00 | 11 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 10.1 | 10 | 0 |
*ジャクソン | 広島 | 1.42 | 13 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 7 | 12.2 | 9 | 2 |
パ・リーグ【打者部門】
日本ハム・レアードが、本塁打、打点、長打率でリーグトップを記録し、2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近藤 健介 | ハム | .397 | 21 | 63 | 25 | 1 | 9 | 0 | .571 | .540 | 1.111 |
上林 誠知 | 福岡 | .355 | 25 | 93 | 33 | 6 | 21 | 3 | .384 | .634 | 1.018 |
松田 宣浩 | 福岡 | .344 | 25 | 90 | 31 | 8 | 19 | 2 | .417 | .667 | 1.084 |
レアード | ハム | .333 | 23 | 81 | 27 | 10 | 27 | 0 | .429 | .753 | 1.182 |
ウィーラー | 楽天 | .333 | 23 | 87 | 29 | 10 | 22 | 2 | .408 | .713 | 1.121 |
デスパイネ | 福岡 | .312 | 25 | 93 | 29 | 10 | 26 | 1 | .390 | .667 | 1.057 |
パ・リーグ【投手部門】
楽天・則本が、リーグトップとなる4勝、46奪三振をマークし、5月26日にはプロ野球タイ記録となる6試合連続2桁奪三振を達成して2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 完投 | 完封 | S | H | 投回 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菊池 雄星 | 西武 | 1.24 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 29 | 31 | 4 |
*千賀 滉大 | 福岡 | 1.59 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 22.2 | 21 | 4 |
東浜 巨 | 福岡 | 1.95 | 5 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 37 | 38 | 8 |
則本 昂大 | 楽天 | 2.25 | 4 | 4 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 32 | 46 | 8 |
岸 孝之 | 楽天 | 2.51 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 28.2 | 26 | 8 |
*松井 裕樹 | 楽天 | 0.00 | 8 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | 8 | 6 | 0 |
2017年5月の記録・ニュース
巨人・菅野の3試合連続完封
巨人・菅野が、5月3日の横浜戦で3試合連続となる完封勝利を収めた。セ・リーグでは1989年の巨人・斎藤雅樹以来28年ぶり。パ・リーグでは、2011年の日本ハム・ダルビッシュ以来となる。
阪神球団史上初の9点差逆転
5月5日の阪神vs広島戦にて、阪神が球団史上初となる最大9点差の逆転勝利を収めた。詳細は関連記事を参照。
楽天・則本の6試合連続2桁奪三振
楽天・則本が5月25日のオリックス戦で先発し、8回を投げて10個の三振を奪った。これで6試合連続での2桁奪三振となり、1991年の近鉄・野茂英雄に並ぶプロ野球タイ記録となった。(※6月1日の巨人戦、6月8日のDeNA戦でも2桁奪三振を記録し、8試合連続2桁奪三振の日本新記録を達成している。)