シーズン終了後に1年を総括するための備忘録として、月ごとにまとめ記事を書くことにした。
内容としては、「月間順位表」「貯金数推移表」「各球団コメント」「個人タイトル」「月間MVP候補選手の成績一覧」「話題になった記録・ニュースのまとめ」となっている。
早速、2017年4月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。
2017年4月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(4月終了時点)
セ・リーグ貯金推移(4月)
1位 広島東洋カープ
開幕直後に破竹の10連勝で首位を独走。打線が好調で、4月中旬には1番~6番まで3割越えの打者が並ぶこともあった。相手のミスにつけ込んで大量点を奪うシーンが多く見られ、「失策責任追及打線」という言葉まで生まれたほど。鈴木誠也の4番起用も功を奏し、このまま独走するかと思われたが、途中で打線が冷えて足踏み。早々に離脱したジョンソンと中崎の影響も大きいか。
2位 阪神タイガース
超変革を掲げた打線は、糸井の新加入もあり得点力が大幅アップ。糸井、福留、鳥谷といった高出塁率の打者が多く並び、「四球乞食打線」と揶揄される場面も。攻撃力が上がった一方、守備にはかなり不安を抱えており、1試合1個ペースでエラーを量産。ただ勝ちパターンのマテオ、ドリスが安定しているため、打線の力と合わせて2位をキープしている。
3位 読売ジャイアンツ
阿部の好調もあり開幕6連勝を飾るも、坂本、阿部、マギーのクリーンナップ以外が打てず、打線が機能しないことも多かった。阿部が冷え切った頃には、「坂本個人軍」と揶揄される場面も。先発陣は菅野を筆頭に4本柱が安定していたが、中継ぎが手薄で終盤に点を取られて負ける試合も多い。先発&クリーンナップのおかげで何とか3位だが、FA3人組が全く働いてないのは痛い誤算。
4位 横浜DeNAベイスターズ
昨年の二冠王・筒香が絶不調で、4月の本塁打はわずかに1本。その分、ロペスと梶谷が奮起して、何とか得点を重ねている。ただ中継ぎ・抑えに不安を抱えており、なかなか勝ちきれない試合も多い。新人の濱口が先発で好投しているのがプラス要素か。4月終盤に筒香の調子が上向きだしたものの、勝率5割の壁は越えられなかった。
5位 東京ヤクルトスワローズ
WBCに出場した山田&バレンティンが絶不調。山田は4月終盤に打率1割台に突入するほどで、バレンティンも集中力を欠いて三振を量産。クリーンナップが完全に冷え切っていたが、その分先発陣が奮起して試合を作った。昨年までの打のチームとは180度違っており、エース・小川の復調もプラス要素か。山田の調子が上向きだしたので、5月以降の追い上げに期待。
6位 中日ドラゴンズ
開幕から19試合連続で先発に勝ちが付かないなど、4月は最下位をひた走った。中継ぎ陣もイマイチで、先制点をあげるものの、終盤に逆転負けを喫する試合も多かった。打線は大島が絶好調も、ビシエド、ペゲーロといった中軸が冷え冷えで点が入らず。大島を3番に置いてから点が入るようになり、何とかゲーム差無しの5位にとどまった。
パ・リーグ順位表(4月終了時点)
パ・リーグ貯金推移(4月)
1位 東北楽天ゴールデンイーグルス
開幕4連勝を決めるなど、4月中は常に首位をひた走った。原動力となったのが、茂木&ペゲーロの超攻撃的1・2番コンビ。日本一に輝いた2013年を彷彿とさせるほどの得点力で、打ち勝つ試合も多かった。また守護神・松井裕樹を始めとした鉄壁のリリーフ陣により、僅差の試合を落とさないことも強さの秘訣だろう。監督就任2年目に必ず優勝するという梨田監督のジンクス達成なるか?
2位 オリックスバファローズ
開幕3連敗を喫し、今季も絶望かと思われたが、その後は連勝を重ねて気付けば2位。開幕3連戦が事実上の首位攻防戦だったようだ。エース・金子の復調に加え、西、ディクソンなどの先発陣が好調。打線では小谷野とT-岡田が絶好調で、打線の起爆剤となっている。ここを敬遠されたときに、点が取れるかどうかが今後の課題か。
3位 埼玉西武ライオンズ
打線の強さは相変わらずで3位をキープ。前年まで在籍した岸が楽天に移籍したこともあり、先発陣は菊池雄星とウルフ以外ピリッとしないが、打ち勝つ野球で勝ちを重ねている。秋山、浅村、中村、メヒアの長打力は抜群で、ルーキー源田の活躍もプラス要素か。なぜか外野の層が非常に薄いので、補強できればさらに上も狙えるだろう。
4位 福岡ソフトバンクホークス
和田、武田とエース級の投手が相次いで離脱し、先発陣が苦しい状態。打線では4番・内川が大暴れしているものの、序盤は松田の不調もあって去年ほどの得点力を発揮できなかった。4月終盤からデスパイネが打ちだし、上林も活躍しだしているので、上がり目はかなりある。相変わらず異常な安定感を見せるサファテも強みだろう。
5位 千葉ロッテマリーンズ
4月のチーム打率.186と打線が暗黒期に入っている。全く点が入らないので、投手陣は見殺し状態。試合後に打撃練習を居残りで実施するものの、なかなか調子は上がってこず。唯一好調をキープしていた鈴木大地も、4月終盤には成績が落ち始め、最下位も見え始めたか。怪我で離脱した角中の復帰が望まれる。
6位 北海道日本ハムファイターズ
4月は6連敗のあと10連敗と、とても昨年の日本一チームとは思えない状態。早々に大谷、中田が離脱してしまい、打線では近藤が孤軍奮闘するも、得点は12球団最下位という体たらく。4月終盤に中田が復帰して、レアードにもホームランが出始めたので、ここからの巻き返しは十分ありそう。巨人から移籍した大田泰示の活躍も地味に光る。
2017年4月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2017年4月の月間MVP候補一覧
月間MVP候補選手の4月度成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
中日・大島が、リーグトップとなる打率.372、42安打をマーク。1試合4安打を4度記録、1000本安打達成など話題性も高く初受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁 | 長打 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大島 洋平 | 中日 | .372 | 26 | 113 | 42 | 1 | 8 | 5 | .413 | .442 | .856 |
ロペス | 横浜 | .333 | 25 | 105 | 35 | 4 | 21 | 0 | .349 | .533 | .882 |
エルドレッド | 広島 | .324 | 27 | 74 | 24 | 4 | 16 | 0 | .433 | .541 | .974 |
糸井 嘉男 | 阪神 | .318 | 24 | 88 | 28 | 4 | 20 | 3 | .435 | .489 | .927 |
鈴木 誠也 | 広島 | .318 | 27 | 107 | 34 | 5 | 19 | 4 | .373 | .514 | .887 |
阿部 慎之助 | 巨人 | .305 | 23 | 82 | 25 | 5 | 24 | 0 | .366 | .512 | .878 |
出典:NPB – 月間MVP
セ・リーグ【投手部門】
阪神・メッセンジャーが、リーグトップとなる4勝、37奪三振をあげ、抜群の安定感で2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 完投 | 完封 | S | H | 投回 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
又吉 克樹 | 中日 | 0.88 | 6 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 30.2 | 16 | 3 |
濵口 遥大 | 横浜 | 1.17 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 23 | 26 | 3 |
小川泰弘 | ヤク | 1.56 | 5 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 34.2 | 32 | 6 |
菅野 智之 | 巨人 | 1.76 | 4 | 3 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 30.2 | 28 | 6 |
メッセンジャー | 阪神 | 1.95 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 32.1 | 37 | 7 |
マイコラス | 巨人 | 2.18 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 33 | 22 | 8 |
出典:NPB – 月間MVP
パ・リーグ【打者部門】
オリックス・T-岡田が、リーグトップとなる7本塁打、長打率.675を記録。全試合に先発出場し、その他の指標も安定して高いことから、2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁 | 長打 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近藤 健介 | ハム | .416 | 25 | 77 | 32 | 2 | 16 | 3 | .558 | .584 | 1.142 |
岡島 豪郎 | 楽天 | .371 | 20 | 62 | 23 | 1 | 6 | 2 | .431 | .484 | .914 |
浅村 栄斗 | 西武 | .361 | 23 | 97 | 35 | 2 | 18 | 1 | .400 | .474 | .878 |
T-岡田 | オリ | .351 | 23 | 77 | 27 | 7 | 15 | 0 | .485 | .675 | 1.160 |
内川 聖一 | 福岡 | .340 | 26 | 94 | 32 | 5 | 20 | 0 | .432 | .553 | .986 |
茂木 栄五郎 | 楽天 | .318 | 20 | 85 | 27 | 5 | 14 | 1 | .426 | .576 | 1.002 |
出典:NPB – 月間MVP
パ・リーグ【投手部門】
オリックス・金子が、リーグトップとなる4勝、37投球回、2完投をあげ、文句なしで7度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | 完投 | 完封 | S | H | 投回 | 奪三 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金子 千尋 | オリ | 1.70 | 5 | 4 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 37 | 23 | 7 |
ウルフ | 西武 | 1.74 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 31 | 11 | 6 |
ディクソン | オリ | 3.38 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 24 | 14 | 9 |
*サファテ | 福岡 | 0.00 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 10.2 | 16 | 0 |
* 松井 裕樹 | 楽天 | 0.53 | 16 | 2 | 1 | 0 | 0 | 10 | 2 | 17 | 20 | 1 |
* 森原 康平 | 楽天 | 0.63 | 15 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 9 | 14.1 | 10 | 1 |
出典:NPB – 月間MVP
2017年4月の記録・ニュース
1試合28四死球の日本記録
4月1日の広島vs阪神戦で、「1試合28四死球」という日本新記録が生まれた。5時間24分にも及んだ試合は、10回裏に広島がサヨナラ勝ちを収めている。詳細は下記記事を参照。
中日、19試合連続先発の勝ち星なし
中日が「開幕から19試合連続で先発に勝ち星なし」という日本新記録を達成。それまでの日本記録は、1969年に大洋が記録した16試合であった。
楽天・松井裕樹の三者連続三球三振
4月25日の楽天vsロッテ戦で、9回に楽天の守護神・松井裕樹が「三者連続三球三振」を達成。過去の達成者は17人(18度)で、松井が18人目の達成者となった。
ロッテ、4月のチーム打率1割台
ロッテが52年ぶりに「4月の月間チーム打率1割台」を記録した。前回の記録は1965年に東京オリオンズ(現・千葉ロッテ)が記録した.196で、今回ロッテが記録した4月チーム打率.186というのは戦後最低となる。