2018年にヤクルトの山田哲人選手が、自身3度目となるトリプルスリー(3割30本30盗塁)を達成した。
2度目の達成者すら他にいない中で、あっさり3度目を達成したことで、Mr.トリプルスリーの名をほしいままにしており、その先の40-40(40本塁打40盗塁)への期待も高まっている。
2016年にはヤクルトの日本人選手として史上最高額となる3億5000万円で契約更改を行うなど、現在進行形でレジェンド街道をひた走る山田哲人だが、ここでは3度のトリプルスリーの軌跡と、その先の40-40(40本塁打40盗塁)の可能性について述べていきたい。
3度のトリプルスリー
2015年に打率.329、38本塁打、34盗塁の成績で初めてトリプルスリーを達成した山田は、翌2016年にも打率.304、38本塁打、30盗塁の成績を残し、プロ野球史上初となる2年連続&2度目のトリプルスリーを達成した。
トリプルスリー達成者は山田を含めて過去に10人しかおらず、さらに2度目の達成は史上初であったことから、当時のスポーツニュースはこの話題でもちきりであった。
2016年後半から2017年にかけては死球の影響で成績が低迷したものの、2018年には見事復活を果たし、打率.315、34本塁打、33盗塁の成績で史上初となる3度目のトリプルスリーを達成してみせた。
あまりにもあっさりと3度目を達成したため、2度目の達成時に比べてそれほど騒がれることはなかったが、歴代で見ても間違いなくレジェンド級の大記録である。もはやトリプルスリーが当たり前となった山田にとって、次に目指すべき記録は40本塁打40盗塁の達成だろう。
前人未踏の40本塁打40盗塁
トリプルスリーの上位互換的な記録として、40本塁打と40盗塁を同時に達成する40-40(フォーティフォーティ)がある。日本プロ野球ではいまだ達成者がひとりもおらず、メジャーリーグでも4人しか達成者のいない高難度記録だ。
選手 | 年度 | HR | 盗塁 |
---|---|---|---|
ホゼ・カンセコ | 1988 | 42 | 40 |
バリー・ボンズ | 1996 | 42 | 40 |
アレックス・ロドリゲス | 1998 | 42 | 46 |
アルフォンソ・ソリアーノ | 2006 | 46 | 41 |
日本では1987年の秋山幸二(西武)が43本塁打、38盗塁を記録しており、これが最も惜しい成績となっている。当時は130試合制であり、現在の143試合制に換算すると47本塁打、41盗塁となるだけに、時代が違えば達成できた可能性は高い。メジャーリーグが162試合制なことを考えると、試合数の少ない日本の方が達成の難しい記録と言えるだろう。
山田哲人は40本塁打40盗塁を達成できるか?
山田が30本塁打、30盗塁以上を記録したのはトリプルスリーを達成した3年のみで、その時の成績は以下の通り。
- 2015年 .329 38本 34盗
- 2016年 .304 38本 30盗
- 2018年 .315 34本 33盗
2015年の38本塁打、34盗塁が最も惜しい成績となるが、いまのところ本塁打、盗塁ともに40の大台を越えたことはない。ただ全盛期と言われた2016年の前半では、オールスター時点(88試合消化)で打率.350、29本塁打、72打点、20盗塁を記録しており、143試合換算すれば47本塁打に到達する計算となる。
残念ながらこの年は後半戦で2度の死球を受けてしまい、その影響で成績が低迷して38本塁打止まりとなったが、40本塁打を打てるポテンシャルは間違いなくあるだろう。2017年も成績の振るわなかった山田だが、2018年には3度目のトリプルスリーを達成するなど完全復活を遂げており、再び40-40への期待が高まってきている。
盗塁に関しても、トリプルスリーを達成した3年間はいずれも出塁率が4割を超えており、盗塁成功率も89%以上の高い値をとっているため、走る気さえあればまだまだ盗塁数を伸ばしていけるはずだ。
年度 | 出塁率 | 盗塁数 | 成功率 |
---|---|---|---|
2015 | .416 | 34 | 89.5% |
2016 | .425 | 30 | 93.8% |
2018 | .432 | 33 | 89.2% |
2018年の開幕前に行われた青木宣親との対談では、青木から「40-40いける」と太鼓判を押され、山田自身も「やる気でいます」と意欲たっぷりな様子を見せた。こうした山田の意欲とポテンシャルを考えれば、日本プロ野球初の40-40達成を見られる日も近いだろう。