日本プロ野球における2018年8月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2018年7月度のまとめ記事はこちら)
セ・リーグでは8月15日に広島にマジック32が点灯し、8月終了時点でマジックを17まで減らしている。パ・リーグではマジック点灯はしていないものの、西武が2位に6ゲーム差をつけて首位をキープ。ただ2位ソフトバンクの追い上げも凄まじく、予断を許さない状況と言える。
2018年8月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(8月終了時点)
セ・リーグ月間順位(8月)
セ・リーグ貯金推移(8月)
1位 広島東洋カープ
7月に引き続き8月も17勝9敗1分の勝率.654で首位を快走。8月は3番丸が打率347、OPS1.193、4番鈴木が打率.414、OPS1.385と月間MVP級の活躍を見せた。8月の投手防御率4.58は12球団中11位で、守護神・中崎が失点するシーンも多く見られたが、取られた分を取り返す打線のおかげで順調に勝ちを重ねている。
2位 東京ヤクルトスワローズ
8月は14勝11敗で月間2位。7月に続いて山田、バレンティンが月間OPS1.000超と好調で、1~3番の出塁率も4割を超えるなど、12球団一の上位打線を誇っている。投手陣では勝ちパの近藤、石山に疲れが見えるが、先発・原が覚醒するなど好材料も。8月のチーム成績は広島とほぼ同じだが、直接対決で2勝4敗と負け越したのが痛かった。
3位 読売ジャイアンツ
8月は13勝13敗1分で月間3位。先発陣の調子が良く、8月の先発防御率3.42はリーグトップ。その分、救援陣に不安があり、8月の救援防御率は4.62で、試合終盤に逆転や勝ち越しを許して負ける場面が多く見られた。打線では坂本に続いて吉川尚が離脱し、二遊間を欠く厳しい状況となったが、4番岡本が打率.340、8本、28打点の活躍で気を吐いた。
4位 阪神タイガース
8月は11勝13敗で月間4位。糸井、梅野が月間OPS1.000超と好調だったが、ホームランが少ないこともあって、8月のチーム得点91はリーグ最少。また先発陣は7月に引き続き不調で、先制点を許してそのまま負ける試合も多かった。8月の救援防御率3.25はリーグトップなので、何とか先発と打線に奮起してもらいたいところ。
5位 横浜DeNAベイスターズ
8月は10勝15敗で月間6位。6,7月に引き続き倒壊が止まらず、8月のチーム防御率4.96は12球団最下位。特に先発陣が苦しい状況で、序盤に先発が打ち込まれて負ける試合が少なくない。打線では宮崎、筒香が月間OPS1.000超と好調で、ソトも8月だけで11本塁打と破壊力はあるが、投手陣の失点をカバーできる程には至っていない。
6位 中日ドラゴンズ
8月は11勝15敗で月間5位。ビシエドが8月47安打でセ・リーグの月間最多安打記録を更新するなど爆発したが、チーム全体で見ると長打が少なく、8月のチームOPS.709はリーグ最下位。広島、ヤクルト、巨人と同様に救援陣が不安定で、8月は救援防御率4.52とCS進出に向けては少し苦しい状況だ。
パ・リーグ順位表(8月終了時点)
パ・リーグ月間順位(8月)
パ・リーグ貯金推移(8月)
1位 埼玉西武ライオンズ
8月は15勝10敗1分の月間2位。新外国人のヒース、マーティンの加入で、これまでボロボロだった救援陣の整備に成功し、8月の救援防御率2.77は12球団トップ。打線では4番山川が月間打率.217と調子を落としているものの、浅村、中村が共に8月で26打点を稼ぐなど破壊力は健在で、7月に3ゲームだった2位との差を6ゲームに広げている。
2位 福岡ソフトバンクホークス
8月は18勝6敗の勝率.750と圧倒的な強さを見せ、日本ハムを抜いて2位に躍り出た。投打ともに絶好調で、8月のチーム防御率3.10、チームOPS.848はいずれも12球団トップ。千賀、柳田といった中心選手に加え、8月はミランダ(2勝0敗、防御率2.33)、グラシアル(.318、4本、15打点)と新外国人が台頭し、破竹の9連勝で首位・西武に迫っている。
3位 北海道日本ハムファイターズ
8月は10勝13敗2分で月間4位。7月に2人で6勝を挙げた上沢、有原の両投手が、8月は2人でわずか1勝とピリッとせず。8月の先発防御率5.02はリーグ最下位となっている。首位・西武にはゲーム差を広げられてしまったが、8月後半からスタメン定着した浅間、清宮が好調なうえ、大田がケガから復帰するなど、今後の巻き返しが期待される。
4位 千葉ロッテマリーンズ
8月は9勝14敗で月間5位。とにかく打線が沈黙しており、8月は打率.300以上もOPS.800以上も一人も居ないという事態に陥っている。7月に月間MVPを獲得した井上も、8月は打率.253、OPS.673と低迷しており、8月のチーム得点66は12球団最下位。先発の有吉が3勝0敗、防御率2.05と調子が良いが、なかなか先発陣に勝ち星がつかない状態だ。
5位 オリックスバファローズ
8月は11勝13敗1分で月間3位。中継ぎから復帰した山岡を始め、先発陣の調子が良く、8月の先発防御率3.48はリーグ2位。ただ打線は7月に続いて貧打に喘いでおり、月間OPS.900超は吉田のみで、投手陣が抑えてもなかなか勝てない状況だ。同じく貧打に苦しむロッテに、8月で5勝1敗と大きく勝ち越せたのは大きい。
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス
8月は8勝15敗2分で月間6位。8月のチーム防御率3.38は12球団中2位で、救援陣は高梨、久保が0点台、宋、松井、青山が1点台と素晴らしい成績を残している。ただロッテ、オリックスと同様に極度の貧打に悩まされており、8月のチーム打率.222、出塁率.290は12球団最下位。田中和基が新人王に向けて着々と成績を伸ばしているのが救いか。
2018年8月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2018年8月の月間MVP候補一覧
8月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
中日・ビシエドが3度目の受賞。リーグトップの打率.465をマークし、セ・リーグ新記録となる月間47安打を放ったことが評価された。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビシエド | 中日 | .465 | 26 | 101 | 47 | 7 | 24 | 1 | .526 | .723 | 1.249 |
鈴木誠也 | 広島 | .414 | 26 | 99 | 41 | 12 | 29 | 0 | .517 | .869 | 1.385 |
糸井嘉男 | 阪神 | .387 | 23 | 75 | 29 | 3 | 15 | 0 | .516 | .587 | 1.102 |
丸佳浩 | 広島 | .347 | 27 | 101 | 35 | 10 | 28 | 1 | .480 | .713 | 1.193 |
岡本和真 | 巨人 | .340 | 27 | 97 | 33 | 8 | 28 | 0 | .443 | .639 | 1.083 |
セ・リーグ【投手部門】
広島・フランスアが初受賞。プロ野球タイ記録となる月間18登板をマークし、防御率0.51、10ホールドの好成績を挙げたことが評価された。
選手名 | 球団 | 防御率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菅野智之 | 巨人 | 1.50 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 30 | 34 | 2 | 2 | 5 |
大瀬良大地 | 広島 | 1.53 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 29.1 | 28 | 0 | 0 | 5 |
今村信貴 | 巨人 | 1.86 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 29 | 20 | 1 | 1 | 6 |
原樹里 | ヤク | 2.83 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 28.2 | 27 | 1 | 1 | 9 |
*フランスア | 広島 | 0.51 | 18 | 0 | 1 | 1 | 10 | 17.2 | 19 | 0 | 0 | 1 |
パ・リーグ【打者部門】
西武・中村が2度目の受賞。リーグトップの本塁打12、打点26、長打率.747をマークし、パ・リーグタイ記録となる6試合連続本塁打を記録したことも評価された。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
松田宣浩 | 福岡 | .371 | 24 | 89 | 33 | 8 | 21 | 1 | .446 | .708 | 1.153 |
柳田悠岐 | 福岡 | .342 | 23 | 73 | 25 | 7 | 21 | 2 | .496 | .726 | 1.221 |
浅村栄斗 | 西武 | .321 | 26 | 109 | 35 | 4 | 26 | 0 | .380 | .486 | .866 |
中田翔 | ハム | .320 | 25 | 100 | 32 | 6 | 19 | 0 | .360 | .560 | .920 |
中村剛也 | 西武 | .319 | 26 | 91 | 29 | 12 | 26 | 0 | .417 | .747 | 1.164 |
パ・リーグ【投手部門】
ソフトバンク・千賀が初受賞。リーグトップの4勝0敗、防御率0.86、奪三振37をマークし、文句なしの受賞となった。
選手名 | 球団 | 防御率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千賀滉大 | 福岡 | 0.86 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 31.1 | 37 | 1 | 1 | 3 |
山岡泰輔 | オリ | 1.35 | 9 | 3 | 0 | 0 | 4 | 26.2 | 23 | 0 | 0 | 4 |
有吉優樹 | 千葉 | 2.05 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 26.1 | 13 | 0 | 0 | 6 |
*ヒース | 西武 | 0.00 | 13 | 0 | 0 | 8 | 4 | 13 | 22 | 0 | 0 | 0 |
*宮西尚生 | ハム | 0.00 | 13 | 0 | 1 | 0 | 11 | 11.2 | 13 | 0 | 0 | 0 |
2018年8月の記録・ニュース
中日・平田がサイクルヒット達成
8月16日の横浜戦にて、平田良介(中日)が史上68人目(73度目)となるサイクルヒットを達成した。
西武がトリプルプレー達成
8月28日の楽天戦にて、1回表に今江(楽天)の打ったライナーをサード・中村が捕球。そのままセカンド・浅村、ファースト・山川へと転送し、5-4-3のトリプルプレーが完成した。
中日・ビシエドがセ・リーグの月間最多安打記録を更新
8月31日の巨人戦でビシエド(中日)が月間47本目となるヒットを放ち、村田(巨人)が2013年8月に記録した月間46安打を抜いて、セ・リーグの月間最多安打記録を更新した。日本記録は1996年8月にイチロー(オリックス)が記録した月間48安打。
セ・パ両リーグで月間登板数の最多タイ記録を達成
フランスア(広島)、山田修義(オリックス)の両投手が8月に18登板を記録し、56年9月稲尾(西鉄)と13年5月益田(ロッテ)がマークした2リーグ制後のプロ野球記録に並んだ。