NPB球とWBC球の違いとは?日本とメジャーで異なるボール特性

NPB球とWBC球

2017年3月7日から、ワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕する。野球の世界一決定戦だけあって、世間の注目度も高く、これまで2度優勝している侍ジャパンにかかる期待も大きい。

そんなWBCにおいて、毎回とりざたされる問題のひとつに「ボールの違い」というものがある。普段、日本のプロ野球で使用されるボール(NPB球)と、WBCで使用されるボール(WBC球)が異なるために、その違いに対応できない選手が調子を大きく崩してしまうのだ。

一般的に「WBC球はすべりやすい」と言われているが、実際どの程度のものなのかを知る機会はあまりない。そんな人に向けてか、先日『GET SPORTS』という番組の中でWBC球についての特集を行っていたので、ここで紹介してみたい。

WBC球がすべりやすい理由

番組内でも「WBC球はすべりやすい」と言われていたが、より具体的な特徴を挙げると以下の3点になる。

  1. 表面がツルツル
  2. 硬くて変形しない
  3. 縫い目が低い

まず、ボール表面の皮の質がNPB球とは異なっており、かなりツルツルであることが挙げられる。ボール表面をこすった際に、NPB球ではほとんど音がしないのに対し、WBC球では「キュキュッ」と滑るような音が発生する。また、ボールの硬さも異なっており、NPB球は握ると若干変形するのに対し、WBC球では全く変形しない。

そのため、NPB球が手に吸い付いてくるような感覚なのに対し、WBC球は鉄球を持っているような感覚で、握っても全く手に馴染まず、今にも落としてしまいそうな不安に襲われるようだ。

元ロッテの正捕手で、第1回WBCのベストナインでもある里崎選手が、「極論を言うと、軟式と硬式ぐらい手触り感が違う」と発言したことからも、その違いの大きさが窺い知れる。

加えて、ボールの縫い目が低いために指がかかりづらく、余計にその滑りやすさが増してしまっている。これだけ性質が異なると、もはや全く違うボールと言って良く、対応できる選手とできない選手が出てくるのにも納得できる。

日本とアメリカの違いによる影響

ボール自体が持つ性質に加えて、開催国アメリカの環境や風習が、WBC球への対応をより難しくする。ここでは、日本とアメリカの違いについて見ていきたい。

アメリカは湿度が低い

すべりやすさを助長する要因として、湿度の問題があげられる。日本に比べると、アメリカは乾燥しており、湿度がかなり低い。そのため、手に湿り気がなくなることで、ボールがより滑りやすくなるのだ。

日本での一次ラウンドで慣れてきたと思ったら、アメリカに行ったとたん更に滑るようになって苦戦するということも十分あり得る。

ボールに泥を塗る

また、WBC第1回・第2回大会に出場している元ロッテの渡辺投手曰く、メジャーの風習として、ボールを新品そのままでは使用せず、試合前にミシシッピー川の土を混ぜた泥水でボールをこねるのだそうだ。

これにより、ただでさえ滑りやすいWBC球が余計にすべるようになるため、例え日本ラウンドで対応できているように見えても、アメリカでの本戦では調子が狂うことも十分に考えられる。

ボールの精度が悪い

さらに悪いことに、WBC球はボールの製造精度が悪いらしく、1球ごとに大きさや縫い目が微妙に異なる。日本のボールに比べて誤差が大きいため、投球中にボールを変えるとその誤差によって感覚が狂うこともあるようだ。おそるべしWBC球。

WBC球による選手への影響

投手への影響

WBC球の使用にあたって、最も影響を受けるのは投手だろう。ボールのコントロールが難しくなるだけでなく、ストレートを綺麗に投げられなかったり、変化球の曲がりが弱くなるなど、普段のピッチングが出来なくなる可能性が高い。

また、日本ラウンドで上手くWBC球にアジャスト出来たと思っても、決勝ラウンドでは先に述べた日本とアメリカの違いに苦しめられることになる。番組内でも、里崎・渡辺両選手が口酸っぱく言っていたが、「今から色々聞いて準備しておく必要がある」のは間違いないだろう。あのダルビッシュ投手ですら、アメリカに行ってから、より滑りやすくなったボールに苦しめられたようだ。

野手への影響

ボールの影響を受けるのは投手だけではない。野手も守備においてボールを投げる機会が多くある。

特に野手の場合、取ってすぐに投げなければならないことが多いため、WBC球の低い縫い目のせいで指がうまくかからず、すっぽ抜けてしまう危険性がある。過去に行われた侍ジャパンの強化試合においても、山田選手や坂本選手といった一流選手の送球が、高めに抜けてしまうシーンが見られた。

これを防ぐためには、握りを深くするよう心がけたり、すっぽ抜けないように叩きつける意識を持つなど、個別の対策が必要になってくるだろう。

 

とにかく課題の多いWBC球だが、世界一になる為にはこのボールへの対応は必須となる。WBCを観戦する際には、各選手がWBC球に対応できているかどうかをチェックしてみるのも面白いかもしれない。

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