日本プロ野球における2018年7月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2018年6月度のまとめ記事はこちら)
セ・リーグでは広島が2位に9.5ゲーム差をつけて独走態勢に入っており、パ・リーグでは西武と日本ハムの優勝争いとなっている。いずれのリーグも下位チームにゲーム差はそこまでなく、どこの球団もAクラス入りのチャンスはあると言えるだろう。
2018年7月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(7月終了時点)
セ・リーグ月間順位(7月)
セ・リーグ貯金推移(7月)
1位 広島東洋カープ
7月は12勝5敗の勝率.706で首位を快走。オールスター前は豪雨の影響で中止が相次いだが、オールスター明けは休養のおかげもあってか9勝3敗と圧倒的な強さを見せた。投打ともに抜きんでており、6月のチーム防御率3.06は12球団トップ、チームOPS.813も12球団2位(リーグトップ)と他の追従を許さない。OPS1.000超の丸、鈴木を筆頭に、上位から下位まで隙の無い打線となっている。
2位 東京ヤクルトスワローズ
7月は9勝10敗で月間4位。青木が頭部死球で離脱した影響もあり、オールスター前にまさかの8連敗を喫してしまう。後半戦には青木も復帰し、7月のOPS1.000超の山田、バレンティンと共に強力打線を形成して7連勝を飾るなど、何とか月間成績を五分に戻した。先発ではエース小川が好投を続けているが、5,6月と安定していた勝ちパターンに少し疲れが見え始めているのが不安要素か。
3位 読売ジャイアンツ
7月は12勝11敗で月間2位。7連勝で2位に浮上し、勢いそのままに広島との首位攻防戦に挑んだが、手痛い3連敗を喰らい意気消沈。そのまま6連敗を喫して、勢いを失ってしまった。新外国人のヤングマン、メルセデスの活躍もあって先発陣は安定したが、中継ぎが崩壊気味で守護神マシソンも怪我で離脱。また攻守の要の坂本勇人が離脱するなど台所事情は苦しいが、2年目の吉川尚輝が月間OPS.976の活躍で坂本の穴を埋めているのが大きい。
4位 横浜DeNAベイスターズ
7月は9勝11敗で月間5位。6月の時点で投手陣の不調が目立っていたが、7月はチーム防御率5.64で12球団最下位に。今永、井納、濱口、ウィーランド、石田といった先発ローテ―ション投手が軒並み防御率5点台以上で、序盤に大量失点して試合が終わってしまうケースも少なくない。打線では桑原、ソトの1,2番コンビが月間OPS1.000超の活躍を見せているものの、クリーンナップが打点を稼げておらず噛み合わない部分もある。
5位 阪神タイガース
7月は6勝10敗で最下位まで1ゲーム差と迫った。先発投手の成績悪化が止まらず、7月の先発防御率6.19は12球団ワースト。メッセンジャー、秋山、岩貞の3本柱が揃ってピリッとせず、安定して勝てる試合が無くなってしまった。打線は6月後半からスタメンの北條のほか、福留、ロサリオが月間OPS1.000近い成績を残しており調子は上向き。昨年盤石を誇った投手陣の復調が待たれる。
6位 中日ドラゴンズ
7月は10勝11敗の月間3位。アルモンテ、モヤの両外国人がケガで離脱し、打線はかなり苦しい状況に陥ったが、ビシエドが打率.378、OPS1.105と月間MVP級の活躍で奮闘。また先発の小笠原、ガルシアが7月は共に3勝で防御率1点台とエースの働きを見せており、チームの勝利をけん引している。救援防御率も4.34と6月よりは大分良化しており、あとはアルモンテの復帰を待って反撃といきたいところ。
パ・リーグ順位表(7月終了時点)
パ・リーグ月間順位(7月)
パ・リーグ貯金推移(7月)
1位 埼玉西武ライオンズ
7月は13勝5敗の勝率.722で、月頭に首位で並んでいた日本ハムを突き放す形となった。相変わらず打線が好調で、7月のチームOPS.850は12球団トップ。浅村、山川、中村の3人が長打率.700前後、月間OPS1.000超と破壊力抜群だ。投手力は相変わらず低いが、取られた以上に取れば良いの精神で勝ちを重ねている。5,6月と若干打線の勢いが落ちていたが、7月は4月以上の勢いを取り戻している。
2位 北海道日本ハムファイターズ
7月は10勝8敗で月間3位。どのチームも投壊気味な中で、投手陣が比較的安定しており、7月のチーム防御率3.41はリーグトップ。有原、上沢が共に3勝を挙げたほか、トレードで来た杉浦や、2年目の堀が今季初勝利を挙げるなど、先発陣の活躍が光る。打線では2番を打っていた大田泰示が死球骨折で離脱したが、2軍から昇格した松本剛がその穴を埋めており、何とか西武に食らいついている形だ。
3位 福岡ソフトバンクホークス
7月は6勝11敗と大きく負け越して月間5位。先発・リリーフともに投壊が進んでおり、先発陣は7月の防御率が軒並み5点台。リリーフもマシンガン継投が祟ってか、鍛冶屋、モイネロあたりが捕まることが多くなった。逆に打線は柳田、今宮を中心に好調で、7月のチームOPS.801は西武に次いでリーグ2位。ただ24日から柳田が負傷欠場しており、打線の要を欠いた状態で窮地に立たされている。
4位 千葉ロッテマリーンズ
7月は7勝10敗3分で月間4位。6月に好調だった投手陣が苦戦を強いられており、特に先月4勝0敗、防御率0.99だった石川歩が、今月は0勝2敗、防御率7.03と精彩を欠いている。また勝ちパターンの益田、内が失点する場面も出てきており、投手陣には不安を抱えている。打線では4番の井上晴哉が7月の打率.400、OPS1.286と孤軍奮闘しているが、1番を打っていた荻野が離脱した影響もあり得点力不足が否めない。
5位 オリックスバファローズ
7月は6勝13敗1分と大きく負け越し、とうとう最下位が見えてきてしまった。7月のチーム打率.244、OPS.664は共に12球団最下位。OPSに至っては12球団で唯一の.600台であり、深刻な得点力不足に悩まされている。また盤石を誇ったリリーフ陣にも疲れが見え始めており、山本、吉田、増井の勝ちパターン3人で5敗を喫するなど、僅差の試合で勝てなくなってきている。何とか打線の援護が欲しいところ。
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス
7月は12勝7敗で月間2位。オールスター後の12試合で10勝2敗と恐ろしいブーストをかけてきており、先月までぶっちぎりの最下位だったのが、既に5位の背中が見える位置まで来ている。7月の防御率3.78はリーグ2位、OPS.765はリーグ3位と、もはや前半戦までとは別のチーム。7月に入ってアマダーがHR11本、OPS1.154と大爆発しているほか、守護神ハーマンも19試合連続無失点を継続中とチームの勢いをけん引している。
2018年7月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2018年7月の月間MVP候補一覧
7月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
ヤクルト・山田哲人が、打率.425、出塁率.517、長打率.781、OPS1.298、盗塁8でリーグトップとなり、自身6度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山田哲人 | ヤク | .425 | 19 | 73 | 31 | 7 | 18 | 8 | .517 | .781 | 1.298 |
桑原将志 | 横浜 | .421 | 20 | 76 | 32 | 3 | 8 | 4 | .470 | .658 | 1.128 |
ビシエド | 中日 | .378 | 21 | 74 | 28 | 5 | 19 | 0 | .483 | .622 | 1.105 |
丸佳浩 | 広島 | .311 | 17 | 61 | 19 | 8 | 18 | 1 | .462 | .738 | 1.199 |
ソト | 横浜 | .278 | 20 | 79 | 22 | 9 | 22 | 0 | .337 | .671 | 1.008 |
セ・リーグ【投手部門】
広島・ジョンソンが、リーグトップの4勝、防御率2.03の安定感を見せて、自身初受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小川泰弘 | ヤク | 1.69 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 26.2 | 18 | 0 | 0 | 5 |
小笠原慎之介 | 中日 | 1.71 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 26.1 | 19 | 1 | 1 | 5 |
ガルシア | 中日 | 1.93 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 28 | 23 | 0 | 0 | 6 |
ジョンソン | 広島 | 2.03 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 26.2 | 27 | 0 | 0 | 6 |
ヤングマン | 巨人 | 2.77 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 26 | 25 | 0 | 0 | 8 |
パ・リーグ【打者部門】
ロッテ・井上晴哉が、打率.400、打点23、出塁率.500、OPS1.286でリーグトップとなり、自身初受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
井上晴哉 | 千葉 | .400 | 20 | 70 | 28 | 7 | 23 | 0 | .500 | .786 | 1.286 |
柳田悠岐 | 福岡 | .392 | 13 | 51 | 20 | 6 | 13 | 1 | .429 | .765 | 1.193 |
浅村栄斗 | 西武 | .378 | 18 | 74 | 28 | 7 | 19 | 0 | .432 | .716 | 1.148 |
山川穂高 | 西武 | .347 | 18 | 72 | 25 | 8 | 16 | 0 | .420 | .694 | 1.114 |
アマダー | 楽天 | .304 | 17 | 69 | 21 | 11 | 17 | 0 | .342 | .812 | 1.154 |
パ・リーグ【投手部門】
日本ハム・有原航平が、リーグトップとなる4勝、防御率1.52、投球回29.2の成績で、自信2度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
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有原航平 | ハム | 1.52 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 29.2 | 18 | 1 | 0 | 5 |
涌井秀章 | 千葉 | 1.93 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 23.1 | 8 | 0 | 0 | 5 |
上沢直之 | ハム | 3.54 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 28 | 28 | 0 | 0 | 11 |
*近藤大亮 | オリ | 0.00 | 9 | 1 | 0 | 0 | 4 | 10.2 | 10 | 0 | 0 | 0 |
*ハーマン | 楽天 | 0.00 | 10 | 0 | 0 | 6 | 2 | 9 | 7 | 0 | 0 | 0 |
2018年7月の記録・ニュース
ヤクルト・山田がサイクルヒット達成
7月9日の巨人戦にて、ヤクルトの山田哲人が史上66人目(71度目)となるサイクルヒットを達成した。
西武・源田が新人開幕からの連続フルイニング出場の日本記録更新
7月11日に西武の源田壮亮が、新人開幕から221試合連続フルイニング出場を果たし、これまで長嶋茂雄が持っていた220試合の記録を抜いて日本新記録を樹立した。なおフルイニング出場は現在も継続中。
西武・秋山が史上初の2年連続AS先頭打者HR
7月13日に行われたオールスターゲームで、西武の秋山翔吾が先頭打者ホームランを放った。これで秋山は2年連続でのAS先頭打者ホームランとなり、史上初の快挙となった。
DeNA・桑原がサイクルヒット達成
7月20日の阪神戦にて、横浜DeNAの桑原将志が史上67人目(72度目)となるサイクルヒットを達成した。
巨人・山口がノーヒットノーラン達成
7月27日の中日戦で、巨人の山口俊が史上79人目(90回目)となるノーヒットノーランを達成した。