日本プロ野球における2018年3・4月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。
セ・リーグが1位から6位まで6.5ゲーム差と混戦模様なのに対し、パ・リーグはすでに1位から6位まで13.5ゲーム差と大きく差が開いている。まだ4月なので今後の巻き返しに期待したいところ。
2018年3・4月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(4月終了時点)
セ・リーグ貯金推移(3・4月)
1位 広島東洋カープ
打線は鈴木誠也や新井貴浩といった主軸を怪我で欠くなか、田中・菊池・丸を中心として、14試合で5得点以上を挙げるなど効率的に得点を重ねている。またリリーフ陣が好調で、救援防御率2.95は12球団トップ。打線に昨年ほどの爆発力は無いものの、確実に得点してリリーフが守り切るという強い野球を見せている。先発陣は薮田、野村、ジョンソンがピリッとせず、かなり苦しい状況だが、それでも首位に立っているのはさすがのチーム力といったところか。
2位 読売ジャイアンツ
昨季、先発3本柱として二桁勝利をあげた菅野と田口が、揃って開幕から2試合連続で炎上。また先発が抑えた試合も、リリーフが炎上するなど開幕早々に6連敗を喫する。一時は最下位に転落したものの、その後先発陣が持ち直し、打線も打率.291、OPS.806とリーグトップの強力打線となり、月末には8連勝で2位まで浮上した。打線は坂本、岡本、ゲレーロが月間MVP級の成績を残すなど好調を維持し、4月だけで6度の二桁得点は球団最多記録となっている。
3位 横浜DeNAベイスターズ
投手力が抜群で、防御率3.18は12球団トップ。ドラフト1位の東を筆頭に、京山、飯塚といったルーキーの活躍が目覚ましく、昨季の10勝トリオ(今永、ウィーランド、濱口)を怪我で欠くなか、それを感じさせない安定感を見せた。強力クリーンナップと投手力を武器に、4月中旬には8連勝を飾り一時は首位に立ったが、クリーンナップ以外の打者がいまひとつで得点力不足に泣くことも。打線がうまく噛み合えば、優勝を狙えるところまで来ているだろう。
4位 阪神タイガース
相変わらず投手陣は安定しており、防御率3.34は横浜に次いで12球団2位。特にメッセンジャーの安定感が抜群で、中5日の登板にも関わらず、防御率1.82でリーグ最多の4勝を挙げるなど大車輪の活躍を見せている。ただ打線の得点力不足が深刻で、70得点というのは12球団最下位。糸井、福留のベテランコンビが気を吐いているものの、若手の調子が上がってこず、なかなか打線が繋がらない状態だ。得点力不足解消のためにも、4番ロサリオの爆発に期待したいところ。
5位 中日ドラゴンズ
新外国人のアルモンテが大当たりで、平田も復帰するなど打線が上向くかと思われたが、昨季活躍した京田、福田が絶不調で相変わらずの貧打に喘いでいる。ナゴヤドームでは8勝4敗と強さを見せるものの、投手陣も先発・中継ぎ問わず炎上することが少なくなく、なかなか安定しない。今季加入の松坂大輔が日本球界で12年ぶりの勝利を挙げるなど、話題性は高いので、なんとか打線と若手先発の復調を待って巻き返しを図りたいところ。
6位 東京ヤクルトスワローズ
MLBから青木宣親が7年ぶりに復帰。ヤクルト黄金期を支えた宮本氏をヘッドコーチに迎え、広島から石井、河田の両コーチを招聘するなど、新体制でのスタートを切った。打率、OPSといった打撃指標は巨人、広島に次ぐリーグ3位で、打撃指標が軒並み最下位だった昨年から大幅な改善を見せている。ただ投手陣の整備には手が回っておらず、先発防御率4.72は12球団最下位。ブキャナン以外に計算できる先発が、あと2人は欲しいところだ。
パ・リーグ順位表(4月終了時点)
パ・リーグ貯金推移(3・4月)
1位 埼玉西武ライオンズ
4月は19勝5敗と2位に5.5ゲーム差をつけてぶっちぎりの首位独走。1番~8番まで3割打者が並ぶ打線は圧巻で、打率.293、OPS.841はいずれも12球団トップ。投手陣に隙はあるものの、「打ち勝てば良い」の精神で打ちまくり、相手チームの防御率を破壊して回っている。8点差を8回裏から逆転したり、5試合連続で9得点以上を挙げたりと、とにかく点の取り方がえげつない。特に4番・山川の活躍が目覚ましく、打率.337、11本、33打点と三冠王も射程に入る勢いだ。
2位 北海道日本ハムファイターズ
大谷翔平のメジャー移籍や、守護神・増井のFA移籍など、相次ぐ主力の流出で低迷するかと思われたが、大方の予想を裏切り14勝11敗の2位と健闘している。3番を打つ近藤(打率.392)の働きが大きく、チャンスメイクのほか自ら打点を挙げるなど大車輪の活躍。また2番・大田や4番・中田が要所でホームランを打つなど、効率的に得点できている。先発は新外国人のマルティネスが38回を投げて防御率1.89と非常に安定しており、先発陣が試合を作れているのも好調の要因。
3位 福岡ソフトバンクホークス
先発の柱である千賀がケガで離脱したほか、セットアッパーの岩嵜、守護神・サファテが手術で長期離脱するなど、昨季盤石を誇った投手陣に暗雲が立ち込めており、防御率はリーグ最下位の4.25。打線では3番・柳田悠岐が打率.353、5本、19打点と孤軍奮闘の活躍を見せており、4月21日にはサイクルヒットを達成している。チーム本塁打26本はリーグトップで、打率や出塁率の割に得点力が高く、春先調子が悪いながらも3位をキープできている。
4位 千葉ロッテマリーンズ
昨年4月終了時点で打率1割台と低迷した打線も、今季は打率.256と大幅に復調。また中村奨吾の11盗塁を筆頭に、盗塁を仕掛ける選手が多く、チーム盗塁数34は12球団トップ。本塁打こそ少ないものの、機動力を武器に得点を重ねている。投手陣では昨年ボロボロだった石川歩が完全に復調しており、ここまで3勝0敗の防御率2.20。涌井との2枚看板でチームをけん引している。中継ぎが安定してくれば、さらに上位も狙えそうだ。
5位 オリックスバファローズ
西勇輝を筆頭に、山岡、田嶋、アルバースと先発陣が安定しており、先発防御率3.29はリーグトップ。ただ起用方法に偏りがあるせいか、中継ぎ陣が炎上してしまう場面が見られる。打線では昨年4番で活躍したロメロが不調で、宗やマレーロといった低出塁率の打者が上位打線を占めていることもあって、得点力不足に悩まされている。ロメロが復調し、投打の運用が改善されれば、まだまだ上位に食い込んでいけるだろう。
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス
4月は一度もカード勝ち越しをすることが出来ず、気づけば6勝19敗の借金13。打線が絶望的に打てておらず、打率.216、OPS.600とあらゆる打撃指標が12球団最下位となっている。また昨年活躍した中継ぎの松井、福山、高梨といった面々が相次いで炎上しており、正直かなり苦しい状況。4月30日には1軍と2軍の打撃コーチ入れ替えの人事が行われ、ここからの巻き返しを図っていく形だ。則本、岸、辛島、藤平といった先発陣が比較的安定しているのが唯一の救いか。
2018年3・4月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2018年3・4月の月間MVP候補一覧
3・4月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
打率、安打数でトップの巨人・坂本勇人が初受賞となった。月間11度のマルチ安打や打点が3位であることに加え、6年ぶりとなるチームの8連勝をけん引したことも評価された。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
坂本勇人 | 巨人 | .369 | 25 | 103 | 38 | 2 | 20 | 2 | .449 | .515 | .964 |
アルモンテ | 中日 | .359 | 25 | 92 | 33 | 4 | 17 | 0 | .427 | .565 | .992 |
岡本和真 | 巨人 | .330 | 25 | 94 | 31 | 5 | 21 | 1 | .411 | .585 | .996 |
丸佳浩 | 広島 | .312 | 25 | 77 | 24 | 5 | 16 | 3 | .530 | .545 | 1.076 |
ロペス | 横浜 | .295 | 24 | 95 | 28 | 7 | 18 | 0 | .323 | .558 | .881 |
セ・リーグ【投手部門】
月間最多の4勝を挙げている阪神・メッセンジャーが3度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ガルシア | 中日 | 1.37 | 5 | 3 | 0 | 0 | 0 | 26.1 | 25 | 0 | 0 | 4 |
ブキャナン | ヤク | 1.80 | 5 | 2 | 1 | 0 | 0 | 35 | 24 | 0 | 0 | 7 |
メッセンジャー | 阪神 | 1.82 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 29.2 | 28 | 0 | 0 | 6 |
山口俊 | 巨人 | 2.03 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 31 | 32 | 2 | 0 | 7 |
*今村猛 | 広島 | 0.77 | 13 | 1 | 0 | 0 | 8 | 11.2 | 8 | 0 | 0 | 1 |
パ・リーグ【打者部門】
西武・山川穂高が、本塁打11、打点33、塁打69、四球22、OPS1.312、得点圏打率.560といずれもリーグトップの成績で、昨年から3ヵ月連続となる3度目の受賞となった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
近藤健介 | ハム | .392 | 23 | 79 | 31 | 0 | 10 | 3 | .520 | .557 | 1.077 |
柳田悠岐 | 福岡 | .353 | 23 | 85 | 30 | 5 | 19 | 7 | .440 | .635 | 1.075 |
秋山翔吾 | 西武 | .347 | 24 | 95 | 33 | 2 | 16 | 3 | .447 | .516 | .963 |
山川穂高 | 西武 | .337 | 24 | 83 | 28 | 11 | 33 | 0 | .481 | .831 | 1.312 |
中村奨吾 | 千葉 | .326 | 24 | 92 | 30 | 2 | 14 | 11 | .407 | .435 | .842 |
パ・リーグ【投手部門】
防御率2.06(3位)で、5勝負けなしの西武・多和田真三郎が初受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
石川柊太 | 福岡 | 1.59 | 7 | 3 | 1 | 0 | 1 | 28.1 | 21 | 0 | 0 | 5 |
マルティネス | ハム | 1.88 | 5 | 3 | 2 | 0 | 0 | 38.1 | 21 | 2 | 0 | 8 |
多和田真三郎 | 西武 | 2.06 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 35 | 22 | 1 | 0 | 8 |
石川歩 | 千葉 | 2.20 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 28.2 | 20 | 1 | 0 | 7 |
菊池雄星 | 西武 | 3.34 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 35 | 35 | 0 | 0 | 13 |
2018年3・4月の記録・ニュース
ソフトバンク・柳田がサイクルヒット達成
4月21日の日本ハム戦にて、ソフトバンクの柳田悠岐が史上65人目(70度目)となるサイクルヒットを達成した。
西武が5試合連続9得点以上の日本タイ記録
西武が5試合連続(4/18,20,21,22,25)で9得点以上を挙げ、2005年の阪神タイガースと並ぶプロ野球タイ記録を達成した。ちなみにパ・リーグでは初の快挙となる。
巨人が63年ぶりの1試合20得点以上
巨人が4月25日の中日戦にて20-4のスコアで勝利し、1955年6月22日に1試合25得点を挙げて以来、実に63年ぶりの20得点以上を達成した。また巨人はこの4月に6度の二桁得点を挙げており、これは球団最多記録となっている。
楽天が球団ワーストの開幕9カード連続勝ち越し無し
楽天が4月の対戦カードで1度も勝ち越すことが出来ず、開幕から9カード連続勝ち越し無しという球団ワースト記録を更新した。これまでは、球団創設2年目にあたる2006年の開幕5カード連続勝ち越し無しがワーストであった。