【2012年ドラフト】則本、菅野、小川、藤浪、大谷の成績比較

2012年のドラフト1位投手5人(則本、菅野、小川、藤浪、大谷)

2012年のドラフトは投手豊作年として有名で、なかでも「ビッグファイブ」と呼ばれる先発投手5人の活躍が目覚ましい。

  • 則本昂大(楽天)
  • 菅野智之(巨人)
  • 小川泰弘(ヤクルト)
  • 藤浪晋太郎(阪神)
  • 大谷翔平 (日本ハム)

どの選手もエース級の活躍を見せており、いまや球界を代表する投手となっている。

ここではこの5選手の、入団1年目~5年目(2013~2017年)までの成績を比較してみたい。

入団からの成績比較

下表は入団から5年目までの通算成績をまとめたもので、登板数の多い順に並べてある。

選手 登板 勝利 敗戦 勝率 投球回 平均回 完投 三振 四球 防御率
則本昂大 138 65 47 .580 948 6.87 25 991 236 2.94
菅野智之 126 61 33 .649 884.1 7.02 21 763 171 2.18
小川泰弘 117 52 34 .605 736.1 6.29 11 594 206 3.40
藤浪晋太郎 114 45 37 .549 727.2 6.38 11 736 305 3.05
大谷翔平 85 42 15 .737 543 6.39 13 624 200 2.52

参考:個人年度別成績 – NPB

則本昂大

投球回についてはダントツの900回越えであり、先発にとって重要な「イニングを喰う」という役目をしっかり果たしている。則本は勝利数や完投数、奪三振といった指標でも他4選手に差をつけており、本格的な先発完投型の投手と言える。

菅野智之

投球回などの累積指標は則本に及ばないものの、投手成績の安定感は抜群。平均投球回7.02と防御率2.18はトップで、より長いイニングを少ない失点で抑えている事になる。2017年には沢村賞も受賞しており、投手能力という点では現時点で右に出る者はいないだろう。

小川泰弘

1年目に16勝を挙げて新人王を獲得したが、その後は怪我に苦しんだこともあり、若干伸び悩んでいる。エース級の投手なのは間違いないが、他4人に比べて平均投球回や防御率の数字が悪く、先発投手としての印象はあまり良くない。

藤浪晋太郎

ポテンシャルのわりに通算成績はパッとせず。高卒新人から3年連続で二桁勝利をかざったものの、2016年から制球難に陥り、結果が伴わなくなってきた。投げている球自体は良いので、5人中ワーストの与四球率(B/9)を何とか改善したいところ。

大谷翔平

登板機会の少なさから、勝利数や投球回などの累積指標はイマイチだが、少ない投球回からは考えられないほど勝利数・奪三振数が多く、勝率.737と奪三振率10.3はいずれもトップ。2016年には投手とDHでベストナイン入りするなど、二刀流として規格外の選手になっている。

成績推移から見る成長率

ここから年度ごとの成績推移を見ていくが、全ての指標を紹介しているとダレてくるので、特に数字変動の面白い「勝利数」「防御率」「奪三振率(K/9)」について紹介していく。

勝利数

則本、菅野、小川、藤浪、大谷の勝利数の推移

勝利数については5年間で何度か逆転現象が起きている。

初年度は大卒組(則本、菅野、小川)の勝利数が圧倒的で、その完成度の高さを見せつけたが、2015年になると高卒組(藤浪、大谷)が勝利数で大卒組を上回り、ポテンシャルの高さと成長速度の速さをうかがわせた。

ただ2016年は全員が10勝前後に甘んじており、そこから2017年に菅野、則本が飛躍的に勝利数を伸ばした一方で、藤浪、大谷が大きく成績を落として再逆転している。

防御率

則本、菅野、小川、藤浪、大谷の防御率の推移

防御率については菅野、大谷、則本が安定して良化を続けており、入団からの成長がうかがえる。特に菅野は3点台→1点台、大谷は4点台→1点台と、驚異的な成長率を誇っている。

逆に小川、藤浪は隔年での悪化傾向があり、いまいち安定感に欠ける印象だ。小川は2年目から怪我に苦しむことが多く、藤浪も2016年から制球難に苦しむなど、両投手とも今後に不安が残る。

ちなみに菅野はこれだけの防御率を誇りながら、2016年まで勝利数が年々減少するという悲惨な経験をしている。あまりの無援護ぶりに、某ゲームで「負け運」がついたことも…。

奪三振率(K/9)

則本、菅野、小川、藤浪、大谷の奪三振率の推移

奪三振率(K/9)とは、1試合あたりの平均奪三振数を表したもので、平均は6.5前後。グラフ中で目を見張るのは、やはり大谷と則本の成長率だろう。

大谷は2年目から一気に数値が向上しており、4年目には奪三振率11超という驚異的な数字をたたき出している。一方、則本も順調に三振の割合を増やしており、今では球界を代表する奪三振投手となった。

一年目に最も奪三振率が高かった藤浪は、2015年までは順調に推移していたものの、2016年以降にガクッと数値が下がってしまっている。ポテンシャルは抜群なので、今後の復活に期待したいところだ。

各選手の獲得タイトル一覧

最後に各選手の獲得タイトルを一覧で紹介する。

年度 則本昂大 菅野智之 小川泰弘 藤浪晋太郎 大谷翔平
2013 最優秀新人 最優秀新人
最多勝利
最高勝率
2014 最多奪三振 最優秀防御率
MVP
ベストナイン
2015 最多奪三振 最多奪三振 最優秀防御率
最多勝利
最高勝率
ベストナイン
2016 最多奪三振 最優秀防御率
最多奪三振
GG賞
MVP
ベストナイン
(投手・DH)
2017 最多奪三振 最優秀防御率
最多勝利
沢村賞
ベストナイン
GG賞

どの選手もタイトル獲得経験がある中で、2017年に菅野が先発投手の最高栄誉賞である「沢村賞」を獲得している。

2016年の成績を見て、菅野と大谷の沢村賞争いを見れるかと思ったが、大谷が怪我をしてしまったために実現することは無かった。

まとめ

5年目までの成績を見ると、投球回や奪三振といった累積指標では則本が一歩リード、タイトルまで含めた総合成績では菅野がトップをひた走っている。

大谷に関しては二刀流としての成長が目覚ましく、もはや投手としての比較が難しくなっているが、これまでの成長率を見ても規格外の才能の持ち主と言えるだろう。

小川、藤浪は怪我や制球難で成績が伸び悩んでいるものの、持っているポテンシャルは間違いなく一級品なので、これからの巻き返しに期待したい。

来年2018年から大谷がMLBへ移籍するため、この記事で5選手の成績を追うのもここまでとなるが、各選手がレジェンドの仲間入りするその日を楽しみに待ちたいと思う。