【検証】12球団の捕手比較!2016年の「現役最強キャッチャー」は誰だ?

小林誠司

ここでは、2016年時点での日本プロ野球における「現役最強捕手」を決定したい。

主観を極力排除するため、2016年度および通算成績を元に順位付けを行い、その結果で「最強」を決定する。評価の方法は以下の通り。

  1. 代表的な指標を選択し、各指標ごとに順位付けを行う。
  2. 各指標の順位の平均を出し、「2016年度守備」「2016年度打撃」「通算守備」「通算打撃」の4部門で順位付けを行う。
  3. 4部門の順位の平均を出し、この平均順位が最も高かった選手を現役最強捕手とする。

ちなみに「現役」をうたっていることから、候補者は各球団で2016年に最も捕手出場が多かった選手(12人)としている。早速、比較検証に入っていきたい。

2016年度成績比較

まずは2016年度成績の比較から、守備と打撃それぞれに分けて行っていく。

守備成績(2016)

選手名 試合 捕逸率 守備率 阻止率 順位
石原慶幸(広) 106 .028 .998 .333 1
小林誠司(巨) 129 .031 .994 .356 2
田村龍弘(ロ) 129 .039 .996 .306 3
大野奨太(日) 108 .037 .997 .310 4
杉山翔大(中) 101 .010 .994 .327 5
炭谷銀仁朗(西) 117 .034 .992 .317 6
鶴岡慎也(ソ) 103 .029 .998 .121 7
若月健矢(オ) 84 .000 .995 .283 8
中村悠平(ヤ) 106 .057 .996 .265 9
戸柱恭孝(横) 124 .065 .989 .200 10
原口文仁(神) 87 .080 .995 .233 11
嶋基宏(楽) 78 .051 .993 .194 12

※捕逸率=捕逸/試合数
※守備率=(刺殺+補殺)/(刺殺+補殺+失策)
※阻止率=盗塁刺/盗塁企図数

2016年度の守備成績では、広島東洋カープの石原が1位という結果になった。各指標が満遍なく高水準のうえ、守備率では1位の成績を残しており、平均順位が高くなったものと考えられる。

最下位は東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋。出場試合数が少ないのが大きいが、それ以外にも守備率の悪さや盗塁阻止率の低さが目立つ。日本代表キャッチャーでもあるだけに、意外な結果となった。

横浜DeNAベイスターズの戸柱は、捕逸率・守備率・阻止率の悪さが目立つが、新人として124試合出場の貢献は大きく、最下位は免れたようだ。

本来は試合数ではなく守備イニング数を用いた方が適当なのだが、通算の守備イニングデータが無かったため、本記事では試合数で代替している。

打撃成績(2016)

※別ポジションや代打での出場成績も含む。

選手名 試合 打率 本塁 打点 出塁率 長打率 順位
原口文仁(神) 107 .299 11 46 .376 .453 1
田村龍弘(ロ) 130 .256 2 38 .324 .332 2
大野奨太(日) 109 .245 5 35 .334 .344 3
杉山翔大(中) 104 .260 3 27 .340 .357 4
嶋基宏(楽) 80 .271 2 17 .393 .357 5
小林誠司(巨) 129 .204 4 35 .276 .269 6
鶴岡慎也(ソ) 103 .251 2 26 .284 .346 7
戸柱恭孝(横) 124 .226 2 23 .267 .264 8
中村悠平(ヤ) 106 .187 3 37 .266 .259 9
炭谷銀仁朗(西) 117 .218 1 22 .251 .269 10
若月健矢(オ) 85 .227 0 20 .259 .284 11
石原慶幸(広) 106 .202 0 17 .296 .230 12

2016年度の打撃成績では、阪神タイガースの原口がぶっちぎりの1位となった。出場試合数以外の全ての指標で1位となっており、野村・城島・阿部に続く打撃型キャッチャーとして期待が高まる。(シーズン途中で一塁へコンバートしているのが気になるが…)

最下位は広島東洋カープの石原。守備部門では1位を獲得し、チームの優勝に大きく貢献したものの、打撃については年齢による衰えが見えている。特に本塁打などの長打が少ない結果となったが、今年の広島打線であれば問題無かったのであろう。

打撃について叩かれることの多い読売ジャイアンツの小林だが、平均順位程度の成績は残せているので、正直叩かれすぎな印象はある。

通算成績比較

続いて通算成績の比較を、守備と打撃それぞれに分けて行っていく。

なお通算成績となると、現役生活が長い選手の方が出場試合数や本塁打数などの累積指標で有利となるが、こうした経験値や実績というのも「最強」を決めるために必要だと思うので、比較の中に盛り込んでいる。

守備成績(通算)

選手名 試合 捕逸率 守備率 阻止率 順位
大野奨太(日) 698 .033 .996 .338 1
鶴岡慎也(ソ) 1014 .031 .996 .265 2
小林誠司(巨) 255 .035 .994 .385 3
炭谷銀仁朗(西) 1013 .045 .994 .356 3
中村悠平(ヤ) 526 .030 .993 .294 5
田村龍弘(ロ) 301 .033 .993 .368 5
若月健矢(オ) 88 .000 .995 .283 7
石原慶幸(広) 1430 .034 .993 .293 8
嶋基宏(楽) 1107 .059 .993 .271 9
杉山翔大(中) 162 .031 .990 .337 10
原口文仁(神) 87 .080 .995 .233 11
戸柱恭孝(横) 124 .065 .989 .200 12

※捕逸率=捕逸/試合数
※守備率=(刺殺+補殺)/(刺殺+補殺+失策)
※阻止率=盗塁刺/盗塁企図数

通算の守備成績では、北海道日本ハムファイターズの大野が1位となった。さすが日本一になったチームのキャッチャーというべきか、全ての指標で平均以上の成績を残している。

最下位は横浜DeNAベイスターズの戸柱。2016年度単年では最下位を免れたものの、通算成績ではまだ新人で実績が無いことが大きく響いた。セ・リーグの捕手は若手が多いことから、全体的にパ・リーグの捕手の方が順位が高くなっている。

打撃成績(通算)

※別ポジションや代打での出場成績も含む。

選手名 試合 打率 本塁 打点 出塁率 長打率 順位
石原慶幸(広) 1450 .239 63 354 .303 .330 1
嶋基宏(楽) 1120 .250 20 247 .331 .308 2
中村悠平(ヤ) 537 .240 15 151 .314 .303 3
原口文仁(神) 107 .299 11 46 .376 .453 4
鶴岡慎也(ソ) 1024 .238 14 234 .270 .307 5
大野奨太(日) 711 .216 26 142 .290 .313 6
杉山翔大(中) 168 .232 6 44 .295 .322 7
炭谷銀仁朗(西) 1018 .206 26 232 .244 .276 8
小林誠司(巨) 262 .218 8 62 .290 .292 9
田村龍弘(ロ) 304 .208 4 81 .280 .273 10
戸柱恭孝(横) 124 .226 2 23 .267 .264 11
若月健矢(オ) 90 .221 0 20 .252 .275 12

通算の打撃成績では、広島東洋カープの石原が1位となった。やはり通算ともなると、積み上げてきた実績がモノをいう。衰えは見えているものの、12名の中で実績は抜群なので妥当な結果と言えるだろう。

最下位はオリックスバファローズの若月。まだ3年目の若手のため、実績がないぶん厳しい戦いを強いられた。2016年度だけで見ても打撃成績は下から2番目なので、これは仕方がないか。

こうしてみると、通算打率が2割後半の古田(.294)、城島(.296)、阿部(.286)がいかに化け物かということがよくわかる。そして、そこに割って入ろうとしている原口(.299)も十分異次元の成績と言えるだろう。

総合成績比較!最強の捕手は?

さて、お待ちかねの総合順位。ここで1位になった選手が、2016年時点における「現役最強捕手」の栄冠を手にすることになる。ちなみに画像は巨人・小林だが、指の形が「1位」を表しているというだけで総合順位には関係ない。

勿体ぶってもしょうがないので、順位一覧をドーンと発表。

成績順位一覧

選手名 2016 通算 総合
守備 打撃 守備 打撃
大野奨太(日) 4 3 1 6 1
小林誠司(巨) 2 6 3 9 2
田村龍弘(ロ) 3 2 5 10 2
鶴岡慎也(ソ) 7 7 2 5 4
石原慶幸(広) 1 12 8 1 5
中村悠平(ヤ) 9 9 5 3 6
杉山翔大(中) 5 4 10 7 6
炭谷銀仁朗(西) 6 10 3 8 8
原口文仁(神) 11 1 11 4 8
嶋基宏(楽) 12 5 9 2 10
若月健矢(オ) 8 11 7 12 11
戸柱恭孝(横) 10 8 12 11 12

「現役最強捕手」は北海道日本ハムファイターズの大野奨太に決定!

全ての部門で6位以上の成績を収め、通算守備成績では堂々の第1位。正直、あまり目立つ選手ではないが、縁の下の力持ちということで実力は折り紙付きだったようだ。やはり打撃も守備も高い水準で安定している選手は強い。

2位には、読売ジャイアンツの小林と千葉ロッテマリーンズの田村が同率でランクイン。

小林は完全なる守備特化型で、まだ3年目にも関わらず2016年の守備成績では2位、通算でも3位と堅守を誇っている。打撃をもっと伸ばせれば侍ジャパン入りも見えてくるか。

田村は成長目覚ましく、2016年度の打撃成績は堂々の2位であり、打てる捕手の片鱗が垣間見える。キャッチングや肩も良さそうなので、今後球界を代表する捕手になる可能性もあるだろう。

下位に沈んだ選手も、まだ若い選手が多いので今後の活躍に期待したいところだ。

おわりに

今回の比較検証について、思うところがある人もいると思うが、あくまで机上の成績比較から導き出した結果だということを留意いただきたい。

課題としては、各指標の重み付けができておらず、単純な相対順位だけで評価をしてしまっている点が挙げられる。捕手の能力としては、ブロッキング、フレーミング、リード、肩、打撃など様々なものがあるが、どれが重要かということに重きを置いていない。またフレーミングやリードについては、評価自体が適正にされていない可能性が高い(一応、出場試合数という項目で経験値を測ってはいるが…。)

とはいえ、比較的わかりやすい指標を使って、それなりの順位付けができたことには満足している。検証する前は、広島・石原が1位と予想していたが、実際には日本ハム・大野が1位であった。こうして客観的にデータを比較してみると、今まで知らなかった気付きを得られるので非常に面白い。

また、今回この「現役最強捕手検証」をやるキッカケとして、「他球団捕手のことをあまりよく知らないのでデータだけでも見ておきたい」と思ったのが大きい。そういう意味では目標は達成されたように思う。

また何か思いつく度に比較検証を行っていこうと思うので乞うご期待。