日本プロ野球における2018年5月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2018年4月度のまとめ記事はこちら)
セ・リーグは広島が独走態勢に入りつつあるが、パ・リーグは4月独走していた西武に日本ハムとソフトバンクが迫ってきている。5月29日から始まった交流戦で順位の入れ替えも起きそうだ。
2018年5月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(5月終了時点)
セ・リーグ月間順位(5月)
セ・リーグ貯金推移(5月)
1位 広島東洋カープ
月間1位(11勝9敗)の成績で4月から首位をキープ。鈴木、松山、會澤、野間らがOPS.900以上をマークしており、丸が離脱した影響はあるものの、安定した得点力を維持している。5月は先発防御率3.73(3位)、救援防御率5.12(6位)と投手陣は少し苦しくなっているが、雨天中止が4試合あったことなど日程も味方している。
2位 横浜DeNAベイスターズ
4月は得点力不足に泣いたが、二軍から昇格した梶谷とソトが起爆剤となり打線が活性化。OPS.900超のふたりを1番、2番に据えた打線が機能し、得点力不足は解消されつつある。ただ3番・筒香の絶不調期がしばらく続いたこともあり、5月の救援防御率2.79がリーグダントツだったにも関わらず、月間では10勝10敗の勝率5割となっている。
3位 阪神タイガース
5月は先発防御率2.83と12球団唯一の2点台をマーク。救援防御率3.67も横浜に次いでリーグ2位と、圧倒的な投手力を誇っている。反対に打線はかなり低迷しており、6番以降に1割打者が4人並ぶことがあるなど、打撃指標は軒並みリーグ最下位。それでもメッセ、秋山、岩貞といった先発陣の働きもあり、5月は12勝12敗で3位につけている。
4位 読売ジャイアンツ
4月はチーム打率.291と好調だった打線も、5月はかなり冷え込み、月間の打撃指標は軒並みリーグ5位に。特にゲレーロ、マギーの外人コンビと、キャッチャー小林の落ち込みが激しく、打線の繋がらない試合が多くなった。投手陣の防御率もリーグ5位でピリッとせず、5月は9勝14敗で最下位。岡本、吉川尚が未だにスタメンで活躍を見せているのが救いか。
5位 中日ドラゴンズ
1・2番の打順を入れ替えてから、京田、大島ともに打撃が復調。また中軸を打つアルモンテ、平田がOPS1.000超えの月間MVP級の活躍を見せるなど、とにかく打線が好調。5月のチーム打率.291は12球団トップで、4月とは打って変わって打のチームへと変貌した。リーグ最下位だった防御率にも改善が見られ、5月は13勝11敗でゲーム差無しの首位となっている。
6位 東京ヤクルトスワローズ
打線は山田、バレンティン、坂口が相変わらず好調で、安定した強さを見せている。課題の投手陣だが、石山をクローザーに据えてからは勝ちパターンが安定してきており、勝ちゲームを落とさなくなった。ただし先発防御率4.56は相変わらず12球団最下位であり、上位に行くためにも小川を始めとした先発陣の奮起が待たれる。
パ・リーグ順位表(5月終了時点)
パ・リーグ月間順位(5月)
パ・リーグ貯金推移(5月)
1位 埼玉西武ライオンズ
4月は1番~8番まで3割打者が並ぶ強力打線で独走していたものの、5月は5度の完封負けを喫するなど打線が沈静化しており、苦しい中継ぎ事情も相まって10勝14敗の最下位となっている。1番・秋山は依然として好調だが、他の打者が軒並み成績を下げているため、何とか交流戦での打線復活を図りたいところ。
2位 北海道日本ハムファイターズ
4月終わりに5.5ゲーム差だった1位とのゲーム差も、5月終わってみれば1ゲーム差と猛追している。全体的に投手陣と守備が優秀で、特に5月の救援防御率1.56という数字は目を見張るものがある。5月の打率.227は最下位だが、大田、中田、レアードを中心にホームランが多く、効率的に得点してそれを守り抜く野球を見せている。
3位 福岡ソフトバンクホークス
5月は柳田が打率.387、7本、23打点、OPS1.119と大暴れで、前後を打つ中村晃、デスパイネの好調も相まってリーグ屈指の打線となっている。故障者の多い中継ぎに不安が残るものの、先発は千賀、石川を中心に好投を続けており、12球団屈指の守備力もあって5月のチーム防御率は日本ハムと並んでリーグトップタイとなっている。
4位 オリックスバファローズ
4月は10勝15敗と大きく負け越したものの、5月は15勝10敗で首位タイ。打線は吉田正尚を除いて決して好調とは言えないが、黒木、山本、吉田、増井といったリリーフ陣が好投を続けており、特に守護神・増井は12試合に登板して防御率0.00をマークするなど接戦で強さを発揮している。ロメロ、T-岡田ら主軸が復調すればAクラス入りも近いか。
5位 千葉ロッテマリーンズ
5月は10勝14敗で5位に転落。4月に比べると打線が低調で、それに伴って盗塁数も先月の半分以下(34→15)に減ってしまった。もともと本塁打は少ないため得点もしづらくなっている。投手陣は課題だった救援防御率が大きく改善(4月4.00→5月2.81)したものの、逆に先発防御率が4.33と悪化しており、リーグ唯一の4点台。なかなか投打が噛み合わない状況だ。
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5月に入ってペゲーロ、ウィーラーが復調してきたものの、茂木、銀次、岡島といった日本人野手が打てず、相変わらずの得点力不足に泣いている。また中継ぎも昨年の守護神・松井が燃えるなど不安定。4月よりマシにはなったものの、先発は良くて他がダメという状況に変わりはない。内田、田中といった若手野手が好調なのが救いか。
2018年5月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2018年5月の月間MVP候補一覧
5月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
中日・アルモンテが、打率、安打数でリーグトップをマークし、初受賞となった。全体的に優れた打撃成績を残しており、チームの月間2位に貢献したことも評価された。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
野間峻祥 | 広島 | .380 | 21 | 71 | 27 | 2 | 11 | 4 | .436 | .521 | .957 |
アルモンテ | 中日 | .371 | 25 | 97 | 36 | 5 | 21 | 0 | .434 | .670 | 1.104 |
ロペス | 横浜 | .352 | 21 | 88 | 31 | 8 | 23 | 0 | .363 | .693 | 1.056 |
筒香嘉智 | 横浜 | .341 | 22 | 85 | 29 | 7 | 14 | 0 | .412 | .682 | 1.095 |
*平田良介 | 中日 | .431 | 22 | 65 | 28 | 2 | 9 | 3 | .513 | .585 | 1.098 |
セ・リーグ【投手部門】
広島・大瀬良大地が、リーグトップの4勝をマークし、初受賞となった。防御率も申し分なく、首位を走るチームの原動力となったことも評価された。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菅野智之 | 巨人 | 1.16 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 31 | 38 | 2 | 1 | 4 |
秋山拓巳 | 阪神 | 1.42 | 5 | 3 | 2 | 0 | 0 | 38 | 32 | 2 | 1 | 6 |
ガルシア | 中日 | 2.00 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 27 | 22 | 1 | 1 | 5 |
大瀬良大地 | 広島 | 2.03 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 31 | 28 | 2 | 0 | 7 |
*エスコバー | 横浜 | 0.00 | 13 | 1 | 0 | 0 | 4 | 12.2 | 11 | 0 | 0 | 0 |
パ・リーグ【打者部門】
ソフトバンク・柳田悠岐が、圧倒的な打撃成績を残して、自身5度目の受賞となった。26試合中、出塁できなかったのは1試合のみで、14試合で打点を挙げるなど大活躍であった。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
柳田悠岐 | 福岡 | .387 | 26 | 106 | 41 | 7 | 23 | 5 | .421 | .698 | 1.119 |
今江年晶 | 千葉 | .378 | 22 | 74 | 28 | 1 | 12 | 0 | .397 | .486 | .884 |
秋山翔吾 | 西武 | .356 | 24 | 104 | 37 | 6 | 20 | 1 | .422 | .615 | 1.038 |
吉田正尚 | オリ | .318 | 25 | 88 | 28 | 4 | 16 | 1 | .400 | .545 | .945 |
ペゲーロ | 楽天 | .298 | 22 | 84 | 25 | 8 | 16 | 1 | .372 | .397 | 1.003 |
パ・リーグ【投手部門】
楽天・岸孝之が、5試合に投げて3勝0敗の負けなしで、自身3度目の受賞となった。4勝0敗の投手もいたが、防御率、投球回、奪三振で岸がリーグトップの成績だったことが評価された。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝 | 負 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
岸孝之 | 楽天 | 1.35 | 5 | 3 | 0 | 0 | 0 | 40 | 37 | 2 | 1 | 6 |
ボルシンガー | 千葉 | 2.16 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 25 | 20 | 0 | 0 | 6 |
アルバース | オリ | 2.78 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 32.1 | 23 | 0 | 0 | 10 |
石川柊太 | 福岡 | 3.52 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 30.2 | 16 | 0 | 0 | 12 |
*増井浩俊 | オリ | 0.00 | 12 | 0 | 0 | 8 | 1 | 12 | 13 | 0 | 0 | 0 |
2018年5月の記録・ニュース
SB・内川が2000本安打達成
5月9日の西武戦で、ソフトバンク・内川が2000本安打を達成した。これで2000本安打達成者は51名(日米通算も含めると56名)となった。