日本プロ野球における2017年9・10月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2017年8月度のまとめ記事はこちら)
パ・リーグでは、9月16日に福岡ソフトバンクホークスが2年ぶり18回目の優勝を、セ・リーグでは、9月18日に広島東洋カープが2年連続8回目の優勝を成し遂げている。
2017年9・10月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(最終順位)
セ・リーグ月間順位(9・10月)
セ・リーグ貯金推移(9・10月)
1位 広島東洋カープ
首位の強さそのままに、9月に入っていきなり9連勝を決めると、9月18日には2年連続となるリーグ優勝を果たした。4番・鈴木誠也が骨折で抜けた穴を、松山竜平が見事に埋めたのが大きかっただろう。9月は16勝5敗の勝率.762で、チームの盤石ぶりを見せつけた。薮田が最高勝率、丸が最多安打、田中が盗塁王と最高出塁率のタイトルを獲得している。
2位 阪神タイガース
9月頭の広島との首位攻防戦で3連敗を喫するも、その後はきっちり2位をキープ。最終戦には離脱していたメッセンジャーが登板するなど、CSに向けての準備を整えつつある。年間のチーム防御率3.29はリーグトップで、自慢の中継ぎ陣が存分に力を発揮した形だ。ドリスがセーブ王、マテオと桑原が最優秀中継ぎのタイトルを獲得している。
3位 横浜DeNAベイスターズ
最後まで巨人とCS争いを繰り広げていたが、9月後半から筒香、ロペス、宮崎のクリーンナップが復調し、何とか巨人を突き放して2年連続のAクラス入りを果たした。セ・リーグでは広島に唯一勝ち越すなど、CSでの台風の目になりえるか。宮崎が首位打者、ロペスが最多安打と打点王のタイトルを獲得している。
4位 読売ジャイアンツ
3位・DeNAと最後まで熾烈なAクラス争いをしていたが、最後の最後で力及ばず。11年ぶりのBクラスとなり、CS制度が始まって以来、初めて出場を逃すこととなった。最後まで13連敗が重くのしかかった格好だが、借金11から貯金4まで持ってきたことは評価できるだろう。菅野が最優秀防御率と最多勝、マイコラスが奪三振王のタイトルを獲得している。
5位 中日ドラゴンズ
5年連続のBクラスとなってしまったが、シーズン終盤では笠原や山井の好投が光った。またシーズン前半で不調だった大野が復調し、来季に向けての希望材料が見えたことだろう。京田がセ・リーグの新人安打記録で歴代2位につけるなど、若い力も育ってきている。タイトル圏内にいた大島は骨折離脱してしまったが、ゲレーロが本塁打王のタイトルを獲得している。
6位 東京ヤクルトスワローズ
球団ワーストとなるシーズン96敗を喫し、真中監督も辞任することとなってしまった。ケガ人も多く散々なシーズンとなったが、来季からは小川監督が就任し、チームの立て直しを図る。タイトル獲得者はいないものの、シーズン終盤で山田に復調の兆しが見えたことと、原や星といった若手投手が年間通してローテーションを守ったことは来季に繋がるだろう。
パ・リーグ順位表(最終順位)
パ・リーグ月間順位(9・10月)
パ・リーグ貯金推移(9・10月)
1位 福岡ソフトバンクホークス
9月頭で9連勝するなど圧倒的な強さを見せつけ、9月16日にはパ・リーグ歴代最速での優勝を決めてみせた。柳田の離脱が痛いが、先発では和田が完全復帰し、サファテもセーブ記録を54まで伸ばすなど、投手陣の強さは盤石だろう。東浜が最多勝、千賀が最高勝率、サファテがセーブ王、岩崎が最優秀中継ぎ、デスパイネが本塁打王と打点王、柳田が最高出塁率のタイトルを獲得している。
2位 埼玉西武ライオンズ
8月に破竹の13連勝で2位に浮上したが、9月も打撃陣が好調で2位を堅守した。源田、山川、森といった若手が打線をきっちり固めており、自慢の強力打線でCSに勝負をかける。エースの菊池雄星も、9・10月は3勝0敗の防御率0点台と完璧に近い投球を見せた。菊池が最多勝と最優秀防御率、秋山が首位打者と最多安打のタイトルを獲得している。
3位 東北楽天ゴールデンイーグルス
9月はリーグ最高のチーム防御率であったが、打線が振るわずに結局3位でシーズンを終えた。とはいえ昨年の5位から考えれば大きな躍進であり、則本、岸、美馬の3本柱を頼りにCSでの下剋上を目指す。則本が奪三振王のタイトルを獲得している。
4位 オリックスバファローズ
10月は1勝もできずに6連敗を喫し、9・10月度のチーム打率と防御率はリーグ最下位に。山岡や山本といったルーキー投手にも勝ちが付かず、いまいちピリッとしないシーズン終盤となってしまった。打撃陣では、マレーロがNPB通算10万号ホームランを打ったことが大きな話題となった。タイトル獲得者はなし。
5位 北海道日本ハムファイターズ
シーズン最終盤で大谷が4番・投手で復帰し、来季のメジャー挑戦に向けて最後の雄姿をファンに見せた。また打線では松本剛や横尾といった若い力も台頭しており、近藤もケガから復帰するなど、来季に向けての明るい材料も見え隠れした。西川が盗塁王のタイトルを獲得している。
6位 千葉ロッテマリーンズ
昨年のAクラスから一転、今年は5月頭からシーズン終了まで最下位に沈んでしまい、伊藤監督の退任も決まるなど散々な年であった。ただシーズン終盤には佐々木千隼が復帰し、二木や酒居といった若手投手の好投も見られたので、来年からの井口政権での立て直しには期待がかかるところだ。タイトル獲得者はなし。
2017年の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2017年9・10月の月間MVP候補一覧
9・10月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
広島・松山が、打率4割超え、本塁打(5)、打点(23)、長打率(.760)でリーグトップの成績を残し、初受賞となった。4番・鈴木誠也の抜けた穴を埋め、優勝へのラストスパートに大きく貢献したことも高評価。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
上本博紀 | 阪神 | .426 | 24 | 68 | 29 | 3 | 7 | 2 | .519 | .602 | 1.121 |
松山竜平 | 広島 | .408 | 20 | 71 | 29 | 5 | 23 | 0 | .456 | .760 | 1.216 |
宮崎敏郎 | 横浜 | .341 | 24 | 88 | 30 | 4 | 10 | 0 | .392 | .545 | .937 |
糸井嘉男 | 阪神 | .317 | 25 | 104 | 33 | 5 | 12 | 7 | .383 | .519 | .902 |
マギー | 巨人 | .316 | 25 | 98 | 31 | 4 | 13 | 0 | .396 | .520 | .916 |
山田哲人 | ヤク | .301 | 23 | 83 | 25 | 4 | 15 | 1 | .408 | .494 | .902 |
セ・リーグ【投手部門】
巨人・菅野が、4勝0敗、防御率0.47の成績で、自身5度目の受賞となった。菅野は5月、7月、9月と同年で3回受賞しており、これはセ・リーグでは1992年の山本昌以来の快挙となる。(パ・リーグでは2013年の田中将大が同年に5回受賞)
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菅野智之 | 巨人 | 0.47 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 38 | 26 | 2 | 1 | 2 |
マイコラス | 巨人 | 1.83 | 5 | 2 | 2 | 0 | 0 | 34.1 | 37 | 0 | 0 | 7 |
藪田和樹 | 広島 | 1.88 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 28.2 | 19 | 1 | 1 | 6 |
ウィーランド | 横浜 | 2.53 | 5 | 4 | 0 | 0 | 0 | 32 | 28 | 1 | 1 | 9 |
*九里亜蓮 | 広島 | 0.87 | 7 | 3 | 0 | 0 | 2 | 10.1 | 6 | 0 | 0 | 1 |
*池田駿 | 巨人 | 0.00 | 11 | 0 | 0 | 0 | 3 | 10.2 | 10 | 0 | 0 | 0 |
パ・リーグ【打者部門】
西武・山川が、本塁打(10)、得点(19)、塁打(68)、長打率(.739)でリーグトップの成績を残し、前月(8月度)に続いて2カ月連続2度目の受賞となった。パ・リーグ打者部門での2か月連続受賞は史上4人目、西武では初となる。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
荻野貴司 | 千葉 | .343 | 27 | 102 | 35 | 1 | 8 | 15 | .382 | .480 | .862 |
山川穂高 | 西武 | .326 | 25 | 92 | 30 | 10 | 19 | 0 | .415 | .739 | 1.154 |
松田宣浩 | 福岡 | .310 | 24 | 87 | 27 | 3 | 11 | 0 | .365 | .494 | .859 |
吉田正尚 | オリ | .308 | 25 | 91 | 28 | 3 | 15 | 1 | .417 | .440 | .857 |
デスパイネ | 福岡 | .300 | 23 | 80 | 24 | 6 | 21 | 0 | .391 | .538 | .929 |
横尾俊建 | ハム | .253 | 26 | 83 | 21 | 6 | 19 | 0 | .323 | .506 | .829 |
パ・リーグ【投手部門】
西武・菊池が、3勝0敗、防御率0.29の成績で、初受賞となった。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
菊池雄星 | 西武 | 0.29 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 31 | 37 | 1 | 1 | 1 |
則本昂大 | 楽天 | 1.41 | 6 | 4 | 2 | 0 | 0 | 44.2 | 48 | 3 | 0 | 7 |
酒居知史 | 千葉 | 2.75 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 36 | 22 | 1 | 0 | 11 |
金子千尋 | オリ | 2.80 | 5 | 2 | 1 | 0 | 0 | 35.1 | 35 | 1 | 0 | 11 |
*マーティン | ハム | 0.00 | 8 | 0 | 0 | 0 | 8 | 7.2 | 2 | 0 | 0 | 0 |
*公文克彦 | ハム | 0.00 | 12 | 1 | 0 | 0 | 3 | 11.2 | 8 | 0 | 0 | 0 |
2017年9・10月の記録・ニュース
福岡・サファテがセーブ数の日本記録更新
ソフトバンクのサファテが、9月2日(土)の楽天戦で日本記録に並ぶ46Sを達成すると、9月5日(火)のオリックス戦で47Sを記録し、シーズンセーブ数の日本新記録を樹立した。最終的にサファテはセーブ記録を54Sまで伸ばしている。
阪神・鳥谷が2000本安打達成
9月8日(金)の横浜DeNA戦にて、阪神・鳥谷敬がプロ通算2000本安打を達成した。これで2000本安打達成者は50名となった。(※日米通算も含めると55名)
オリックス・マレーロが10万号ホームラン
9月29日のロッテ戦にて、オリックス・マレーロがプロ野球通算10万号となるメモリアルアーチを放った。マレーロは今年の6月9日にホーム踏み忘れで来日1号ホームランを取り消されており、この帳尻合わせも話題となった。
巨人・マギーが2塁打のセ・リーグ記録を更新
10月3日の最終戦にて、巨人・マギーが48本目の二塁打を放ち、シーズン二塁打のセ・リーグ記録を更新した。なお日本記録は2001年にオリックス・谷が放った52本となっている。