日本プロ野球における2017年8月度の各チーム状況および、話題になった記録・ニュースを振り返ってみたい。(2017年7月度のまとめ記事はこちら)
セ・リーグでは独走していた広島が8月8日にマジック33を点灯させたものの、後半失速して8月31日時点ではマジックが消滅している。逆にパ・リーグは最後までマジック点灯しないものと思われたが、8月終盤に楽天が大失速したため、9月1日にはソフトバンクにマジック点灯の可能性が出てきている。
2017年8月の各チーム状況
セ・リーグ順位表(8月終了時点)
セ・リーグ月間順位(8月)
セ・リーグ貯金推移(8月)
1位 広島東洋カープ
8月8日に球団最速となるマジック33が点灯。去年同様に優勝へ突き進むかと思われたが、投手陣が月間防御率3.99とピリッとせず、打線も今季最低の月間打率.250で、2015年4月以来の月間負け越しとなってしまった。8月23日には4番・鈴木誠也が骨折で離脱するなど苦しい状況だが、2位とはまだ5.5ゲーム差あるので連覇に向けて気の引き締めどころだろう。
2位 阪神タイガース
8月は17勝9敗1分の勝率.654で月間1位に輝いている。打線や投手陣が絶好調というわけではないが、1点差ゲームで8勝2敗1分と接戦に異様な強さを見せている。8月10日にメッセンジャーが骨折で離脱したのが痛いが、2番手の秋山や中継ぎ陣がよく踏ん張っている。9月は上位チームとの対戦が増える中で奇跡の逆転Vとなるかに注目。
3位 横浜DeNAベイスターズ
8月22日~24日の広島戦で57年ぶりとなる3試合連続のサヨナラ勝ちを収め、勢いに乗るかと思われたが、下位チーム相手に負け越すなど勢いにムラがある。先発投手が序盤で失点する場面が多いが、それを打線の力で取り返しいる形だ。2年連続のCS出場を目指すうえで、4番・筒香が月間成績.315、7本、23打点と復調しているのは大きいだろう。
4位 読売ジャイアンツ
8月は打率、防御率、得点、失点どれもリーグ1位だったが、大差で勝って接戦で負ける試合が多く、それほど勝ちが伸びなかった(15勝10敗)。打線は陽、マギー、阿部が月間MVP級の成績を残すなど好調で、投手陣もドラ2ルーキーの畠が出てきたのが大きい。3番・坂本が月間打率.221と絶不調だが、Aクラスを目指すうえでは坂本の復調が欠かせないだろう。
5位 中日ドラゴンズ
8月は先発が炎上することも多く、打線も月間得点最下位と取り返す力がないので、そのまま負けてしまう展開が見られた。打線では福田が月間成績.283、9本、20打点と気を吐いているが、ビシエド、大島が死球骨折で相次いで離脱するなどかなり苦しい状況。4位と8ゲーム差、6位と11.5ゲーム差での5位孤立も止む無しか。京田の新人王には期待がかかる。
6位 東京ヤクルトスワローズ
総失点ではリーグ最下位を脱出したものの、打率、防御率、得点は未だにリーグ最下位。8月も7勝19敗と大きく負け越しており、好転の兆しが全く見えないのが辛いところだ。バレンティンがホームラン29本で2位につけているのと、山田が不調ながらもホームラン20本に到達したのが良いニュースか。順位争いは絶望的と言えるが、個人成績には期待したい。
パ・リーグ順位表(8月終了時点)
パ・リーグ月間順位(8月)
パ・リーグ貯金推移(8月)
1位 福岡ソフトバンクホークス
楽天と手に汗握る首位争いをしていたが、8月終盤に直接対決3連勝を含む8連勝を決めて一気に突き放した。打線は月間打率.233とかなり調子が悪かったが、先制した試合を中継ぎがしっかり守り切り、終わってみれば今月17勝8敗と圧倒的な強さを見せつけた。守護神サファテが月間11セーブをあげ、パ・リーグ記録となる44セーブを達成。日本記録の46セーブも目前だ。
2位 埼玉西武ライオンズ
7月21日~8月4日まで破竹の13連勝を決め、一時は首位に5.5ゲーム差と迫る快進撃を見せた。その後は少し落ち着いたが、楽天に8月だけで8勝0敗1分と大きく勝ち越し、8月終了時点でついに2位に浮上した。4年目の山川穂高が8月.326、9本、28打点と打線のカンフル剤として働き、防御率はリーグ最下位ながらも12球団トップの得点力で打ち勝っている。
3位 東北楽天ゴールデンイーグルス
8月14日までは首位を保っていたが、8月後半で1勝13敗1分とまさかの大失速。首位攻防戦でも3連敗するなど一気に10.5ゲーム差をつけられ、西武にも捲られてまさかの3位に転落してしまった。これまで安定して勝ちを重ねてきた3本柱(則本、岸、美馬)が12試合に投げて2勝7敗と苦しい内容。茂木、ペゲーロといったケガ人が戻ってきたが、12球団最下位の月間打率.228で打線の調子もどん底だ。
4位 オリックスバファローズ
3位に13ゲーム差、5位に9ゲーム差と完全孤立してしまったオリックス。もはや順位争いとは無縁だが、T-岡田、吉田正尚、中島宏之と打線が好調で、新人王候補の山岡にも勝ちが付き始めた。また高卒新人の山本由伸が初勝利を収めるなど、来期に向けての好材料が揃い始めている。こうして考えると、やはり5月の大失速が痛かったか。
5位 北海道日本ハムファイターズ
8月は打率、防御率ともにリーグトップで、5月以来の月間勝ち越しを決めている。一時は最下位も見えていたが、何とか5.5ゲーム差に突き放した。8月は雨天中止が3試合あった影響で試合数が少なく、ほどよく休養がとれたのが良かったか。打者大谷が月間MVP級の活躍を見せているが、それでも得点力はいまひとつで、ロースコアの1点差負けが5試合もあるのが痛い。
6位 千葉ロッテマリーンズ
8月は月間打率.261とかなり上向いたが、打つ時と打たない時の差がはっきりしている印象。途中加入のペーニャや復帰組の角中の調子が上向いてきたのは大きいだろう。一時は5位に1ゲーム差まで詰め寄ったが、直接対決で連敗して突き放されてしまった。今年限りで勇退する伊藤監督や井口選手のためにも、何とか9月は一矢報いたいところだ。
2017年8月の個人タイトル争い
セ・リーグ【打撃部門】
セ・リーグ【投手部門】
パ・リーグ【打撃部門】
パ・リーグ【投手部門】
2017年8月の月間MVP候補一覧
8月の月間MVP候補選手の成績一覧。(*印は規定未達)
セ・リーグ【打者部門】
横浜・筒香が、月間トップとなる23打点をマークしたほか、打率・本塁打でもリーグ上位の好成績を残し、3度目の受賞となった。得点圏打率がリーグトップの.550だったことも大きい。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
坂口 智隆 | ヤク | .347 | 26 | 98 | 34 | 0 | 3 | 0 | .434 | .388 | .821 |
阿部 慎之助 | 巨人 | .344 | 25 | 93 | 32 | 3 | 22 | 0 | .390 | .462 | .853 |
マギー | 巨人 | .337 | 25 | 98 | 33 | 3 | 18 | 0 | .396 | .500 | .896 |
筒香 嘉智 | 横浜 | .315 | 25 | 92 | 29 | 7 | 23 | 0 | .417 | .630 | 1.047 |
福留 孝介 | 阪神 | .291 | 21 | 79 | 23 | 6 | 22 | 0 | .380 | .633 | 1.013 |
福田 永将 | 中日 | .283 | 24 | 92 | 26 | 9 | 20 | 0 | .340 | .609 | .949 |
セ・リーグ【投手部門】
巨人・マイコラスが、勝利数・防御率・投球回・奪三振の全てで月間トップをマークし、文句なしで自身2度目の受賞となった。8月は5試合に登板し、全ての試合で7回2失点以上の成績を残すなど抜群の安定感を見せた。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
マイコラス | 巨人 | 1.46 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 37 | 44 | 0 | 0 | 6 |
畠世周 | 巨人 | 2.08 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 26 | 31 | 0 | 0 | 6 |
薮田和樹 | 広島 | 2.86 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 28.1 | 24 | 1 | 1 | 9 |
今永昇太 | 横浜 | 3.00 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 30 | 35 | 0 | 0 | 10 |
*又吉直樹 | 中日 | 0.00 | 13 | 2 | 0 | 0 | 8 | 16.1 | 11 | 0 | 0 | 0 |
*ドリス | 阪神 | 1.80 | 14 | 2 | 0 | 8 | 1 | 15 | 20 | 0 | 0 | 3 |
パ・リーグ【打者部門】
西武・山川が、本塁打・打点・出塁率・長打率で月間トップをマークして初受賞となった。マルチ安打11試合、マルチ打点10試合と打線の中軸として活躍し、チームの2位浮上に大きく貢献した。
選手名 | 球団 | 打率 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大谷翔平 | ハム | .389 | 20 | 72 | 28 | 2 | 16 | 0 | .451 | .583 | 1.035 |
角中勝也 | 千葉 | .372 | 25 | 86 | 32 | 4 | 22 | 2 | .440 | .640 | 1.080 |
秋山翔吾 | 西武 | .350 | 27 | 103 | 36 | 3 | 19 | 2 | .416 | .553 | .969 |
中島宏之 | オリ | .342 | 22 | 73 | 25 | 4 | 17 | 0 | .375 | .562 | .937 |
吉田正尚 | オリ | .337 | 24 | 89 | 30 | 6 | 15 | 0 | .406 | .596 | 1.001 |
山川穂高 | 西武 | .326 | 27 | 92 | 30 | 9 | 28 | 0 | .451 | .696 | 1.147 |
パ・リーグ【投手部門】
ソフトバンク・サファテが、13試合に登板してリーグ最多の11セーブをあげ、2度目の受賞となった。8月は10試合連続セーブを記録したほか、パ・リーグの最多セーブ記録44も更新。奪三振率は驚異の14.6を記録するなど、守護神として圧倒的な存在感を見せた。
選手名 | 球団 | 防率 | 試合 | 勝利 | 敗戦 | S | H | 投回 | 奪三 | 完投 | 完封 | 自責 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千賀滉大 | 福岡 | 1.29 | 4 | 2 | 1 | 0 | 0 | 28 | 34 | 0 | 0 | 4 |
バンデンハーク | 福岡 | 2.18 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 | 33 | 42 | 0 | 0 | 8 |
則本滉大 | 楽天 | 2.53 | 4 | 1 | 3 | 0 | 0 | 32 | 29 | 2 | 1 | 9 |
二木康太 | 千葉 | 2.53 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 32 | 27 | 3 | 0 | 9 |
菊池雄星 | 西武 | 3.41 | 5 | 3 | 2 | 0 | 0 | 37 | 45 | 3 | 1 | 14 |
*サファテ | 福岡 | 1.46 | 13 | 1 | 1 | 11 | 0 | 12.1 | 20 | 0 | 0 | 2 |
2017年8月の記録・ニュース
西武が今季最多の13連勝
西武が7月21日の日本ハム戦からスタートして、8月4日のソフトバンク戦までの間に今季最多の13連勝を達成した。丁度、炎獅子ユニフォームを着用してから連勝が始まったことから、赤いユニフォームの球団が強くなるのでは?とも噂された。西武は過去に11連勝以上したシーズンでは必ず優勝しているだけに、逆転Vへの期待が高まったが8月終了時点では黄色信号が灯っている。
巨人が6試合連続3本塁打以上の日本記録達成
巨人が7月30日~8月5日までの6試合で毎試合3本塁打以上を放つという日本新記録を達成した。内訳は以下の通り。これだけ打ったにも関わらず、4勝2敗と微妙な結果に終わっている。
- 07/30 横浜 マギー11号、石川4号、陽4号
- 08/01 ヤク マイコラス1号 亀井3号 亀井4号
- 08/02 ヤク 阿部12号、村田7号、村田8号
- 08/03 ヤク 陽5号、坂本12号、陽6号
- 08/04 中日 陽7号、長野10号、マギー12号、橋本1号
- 08/05 中日 長野11号、阿部13号、陽8号
巨人・阿部が2000本安打達成
8月13日の広島戦にて、巨人・阿部慎之助がプロ通算2000本安打を達成した。これで日米通算も含めた2000本安打達成者は54名となった。