2012年ドラフト1位で巨人に入団し、エースとして活躍を続ける菅野智之選手。
150キロ超の速球と多彩な変化球に加え、精密なコントロールを持った一流投手であり、同時期に入団した選手と比べても獲得タイトル数は群を抜いている。某番組の選手投票企画では、2年連続で最もコントロールの優れた投手に選ばれるなど、その実力は他球団の選手も認めるところだ。
2017年WBCでの力投に始まり、2018年には2年連続で沢村賞を受賞するなど、いまや球界のエースとなった菅野だが、ここでは菅野の凄い記録の数々を見ていきたいと思う。
通算成績と獲得タイトル
菅野の凄さについては、言葉で語るよりも数字を見てもらった方が早いだろう。
年度 | 登板 | 防御率 | 勝利 | 敗北 | 完投 | 完封 | 投球回 | 奪三振 | 与四球 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013 | 27 | 3.12 | 13 | 6 | 1 | 0 | 176 | 155 | 37 |
2014 | 23 | 2.33 | 12 | 5 | 3 | 0 | 158.2 | 122 | 36 |
2015 | 25 | 1.91 | 10 | 11 | 6 | 2 | 179 | 126 | 41 |
2016 | 26 | 2.01 | 9 | 6 | 5 | 2 | 183.1 | 189 | 26 |
2017 | 25 | 1.59 | 17 | 5 | 6 | 4 | 187.1 | 171 | 31 |
2018 | 28 | 2.14 | 15 | 8 | 10 | 8 | 202 | 200 | 37 |
通算 | 154 | 2.17 | 76 | 41 | 31 | 16 | 1086.1 | 963 | 208 |
太字はリーグトップ
出典:個人年度別成績 – NPB
プロ入りから6年間、毎年規定投球回をクリアしながら、通算防御率2.17という数字は驚くべきものだ。2013~2016年までは成績のわりに勝ち星がついてこず、負け運持ちなどと言われることもあったが、2017年からは援護もついてきてエースとして申し分ない成績を残している。
2018年にはシーズン8完封を記録し、1978年の鈴木啓示以来40年ぶりとなる快挙を成し遂げた。また同年に自身初の200投球回&200奪三振(巨人では1981年の江川卓以来37年ぶり)を達成すると、そのまま全項目達成での沢村賞を獲得し、昭和の大エースのような活躍を見せた。
獲得タイトル数も、同時期に入団した選手の中では群を抜いており、残すは最高勝率のタイトルのみというコレクターぶりを見せている。
獲得タイトル(6年間)
- 最優秀防御率4回(2014、2016~2018)
- 最多勝2回(2017~2018)
- 最多奪三振2回(2016、2018)
- 沢村賞2回(2017~2018)
- MVP1回(2014)
歴代1位の3年連続最優秀防御率
2016年~2018年までは3年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得しており、これは西鉄・稲尾和久と並んで歴代1位の連続記録である。
また最優秀防御率の獲得回数は6年間で4度にのぼり、稲尾和久の5度に次いで歴代2位の獲得回数となっている。
菅野自身も防御率には強いこだわりを持っており、2017年に月間MVPを獲得した際には、「防御率は絶対に譲りたくない。防御率はピッチャーの力だと思うので」といった発言も見られた。
史上5人目の2年連続沢村賞
勝ち星がついてこなくても防御率にこだわり続けた菅野だが、2017年からようやく援護にも恵まれるようになり、2017年、2018年と2年連続で沢村賞を受賞している。
選手 | 登板 | 完投 | 勝利 | 勝率 | 投球回 | 奪三振 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
沢村賞(基準) | 25 | 10 | 15 | .600 | 200 | 150 | 2.50 |
2017 | 25 | 6 | 17 | .773 | 187.1 | 171 | 1.59 |
2018 | 28 | 10 | 15 | .652 | 202 | 200 | 2.14 |
太字はリーグトップ、赤背景は基準達成
出典:個人年度別成績 – NPB
2年連続での沢村賞は過去4人しかおらず、菅野が12年ぶりに達成して史上5人目の連続受賞者となった。(※金田正一は3年連続)
沢村賞の連続受賞者
- 杉下茂(1951-1952)
- 金田正一(1956-1958)
- 村山実(1965-1966)
- 斎藤雅樹(1995-1996)
- 菅野智之(2017-2018)
ちなみに沢村賞の最多受賞回数は3回で、上記5人のうち菅野を除いた4人が記録保持者である。連続記録だけでなく、受賞回数でも4人のレジェンドに肩を並べる日が来るかもしれない。
史上初CSでのノーヒットノーラン
菅野の偉業はレギュラーシーズンだけに留まらず、2018年のクライマックスシリーズではCS史上初のノーヒットノーランを達成している。
【巨人】菅野CS初ノーヒットノーラン達成
今季限りで退任が決まっている高橋由伸監督率いる巨人が、エース・菅野のCS初、自身初となるノーヒットノーランでヤクルトとのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ第2戦に勝利。
(引用:スポーツ報知)
過去には2007年の日本シリーズ第5戦で、中日の山井、岩瀬による継投での完全試合が成されているが、個人でのノーヒットノーランは、日本シリーズやクライマックスシリーズといったポストシーンにおいてプロ野球史上初の快挙。
辞任の決まっていた高橋監督と1日でも長く野球がやりたいという、菅野の思いがこもった力投であった。
おわりに
ここまで、菅野智之の通算成績や歴代のレジェンドに肩を並べる記録の数々を紹介してきた。
もう30代にさしかかる年齢で、投手の全盛期と言われる時期は終わろうとしているが、菅野であればその技術と適応力の高さで、息の長い投手になってくれるだろう。
メジャー挑戦も含めて今後の動向は読めないが、これからも歴史に名を刻む投球を見せてくれることに期待したい。