日本ハムファイターズの核弾頭として、2016年の日本シリーズで大暴れした西川遥輝選手。
彼の名前が野球ファンの脳裏に深く刻まれたのは、何と言っても日本シリーズ第5戦のサヨナラ満塁ホームランだろう。
直前まで打率.100(20-2)と調子の振るわなかった西川が、まさかこの場面でホームランを打つとは予想だにしなかった。これで勢いに乗ったのか、続く第6戦では5打数3安打1四球(三塁打2本)の活躍で、日本ハムの日本一に大きく貢献した。
まだそれほど知名度はないが、智弁和歌山の最高傑作とも称される西川遥輝選手について、これまでの成績も踏まえて紹介していきたい。
西川遥輝とは?
- 西川遥輝(にしかわはるき)
- 1992年4月16日
- 身長:180cm 体重:77kg 右投左打
- 2010年ドラフト2位
智弁和歌山高校から2010年にドラフト2位で日本ハムに入団。2014年までは内野を守ることも多かったが、シーズン途中から外野にコンバートされ、今年は主に1番レフトとして出場した。
俊足を武器にしており、2014年には盗塁王に輝いている。またパンチ力のある打撃と持ち前の俊足が合わさっての長打が多いのも特徴。相手チームにとっては非常に嫌なリードオフマンと言えるだろう。
守備には難があると言われていたが、俊足を生かした広い守備範囲のおかげもあって、2016年は左翼のUZR17.2で堂々の12球団1位となっている。(出典:左翼UZR – 1.02 Essence of Baseball)
赤星を超える逸材
西川の年度別の成績は以下の通り。
年度 | 試合 | 打率 | 本塁 | 打点 | 盗塁 | 併殺 | 出塁率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012 | 71 | .239 | 2 | 13 | 7 | 0 | .311 | .654 |
2013 | 85 | .278 | 2 | 26 | 22 | 5 | .358 | .728 |
2014 | 143 | .265 | 8 | 57 | 43 | 1 | .343 | .732 |
2015 | 125 | .276 | 5 | 35 | 30 | 1 | .368 | .759 |
2016 | 138 | .314 | 5 | 43 | 41 | 0 | .405 | .803 |
特筆すべきはその「足の速さ」だろう。2014年には盗塁王のタイトルを獲得しており、今年も糸井嘉男(オリックス)と金子侑司(西武)の53個に次ぐ、41個の盗塁を決めている。盗塁成功率も.796(’14)→.811(’15)→.891(’16)と右肩上がりで、単打や四球を盗塁で二塁打にされてしまうのは投手にとって辛いところ。
選球眼の向上も目覚ましく、2016年に至っては出塁率が4割を超えている。高出塁率の俊足打者というと、元阪神の赤星憲広を彷彿とさせるが、西川には赤星に無かった長打力も備わっている。
2016年の日本シリーズでも、三塁打2本に本塁打1本と持ち前のパンチ力を発揮しており、外野の間に打球が飛べば簡単に長打をもぎ取っていく。そのおかげもあって併殺打が非常に少なく、直近3年間で2個、今年に至っては0個となっている。(長打力のある打者は併殺打が少なくなる傾向にある。)
打率の低さがネックだったが、2016年は打率.314(リーグ2位)という好成績を残しており、来年さらなる成長を遂げられれば、史上最強のリードオフマンの座も夢ではない。
次代を担う92年世代の一員
西川は1992年生まれで、同期には山田哲人や山﨑康晃など、若手のスター選手が数多くいる。
1992年世代の主要選手
- ハム:西川遥輝 有原航平
- 福岡:千賀滉大
- 千葉:中村奨吾
- ヤク:山田哲人
- 横浜:山崎康晃 石田健大
- 広島:中崎翔太
- 巨人:宮國椋丞
世代別でみると、88年世代(田中将大、前田健太、坂本勇人 etc)や、94年世代(大谷翔平、藤浪晋太郎、鈴木誠也 etc)が人気実力ともに抜きんでているが、この92年世代もなかなかの面子揃いだろう。
野手の層が薄い92年世代の中では、山田哲人に次いでNo.2の位置につけており、世代を代表する選手として期待が高まる。
レジェンド入りへの期待
今年24歳を迎えた西川だが、2016年は1番レフトという定位置を確保する飛躍のシーズンであった。打率が3割を超えたのも今季が初めてであり、まだまだレジェンドと呼ぶには早すぎる。球界を代表する選手になるには、少なくともあと数年は今年以上の成績を残し続ける必要があるだろう。
しかし彼の成績を見てみると、打率や出塁率といった打撃指標に加え、UZRなどの守備指標も右肩上がりで成長を続けている。このまま成長を続けられれば、伝説のリードオフマン赤星憲広を越えて、球界のレジェンド入りを果たす日も遠くないだろう。彼のこれからが楽しみでしょうがない。